文献情報
文献番号
201128193A
報告書区分
総括
研究課題名
ベーチェット病バイオマーカーの開発
課題番号
H23-難治・一般-037
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
水木 信久(横浜市立大学 医学研究科 視覚器病態学)
研究分担者(所属機関)
- 河越 龍方(横浜市立大学 医学研究科 視覚器病態学)
- 目黒 明(横浜市立大学 医学研究科 視覚器病態学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ベーチェット病は全身の諸臓器に急性の炎症を繰り返す原因不明の難治性炎症性疾患である。未だ詳細な原因は解明されておらず, 疾患に特異的で, かつ侵襲性の少ない検査法については存在しない。本研究班は, ベーチェット病を対象として,新たなバイオマーカーを開発し, EBMに基づいたオーダーメイド医療を実現可能にすることを目的とする。
研究方法
1. 疾患特異的自己抗体の検索
研究協力者である愛媛大学の澤崎らが最近開発した, 高感度で高効率な抗体スクリーニングシステムを用い, 疾患特異的に上昇している血清中抗体を網羅的に検索した。
2. 疾患感受性遺伝子多型の検索
以前より, 我々は一塩基多型(SNP)を指標とした全ゲノム関連解析(GWAS)を行っている。本研究課題では, 海外他施設との共同で, 多民族多検体に対し, さらにGWAS研究を押し進めた。
3. 疾患感受性遺伝子と臨床像の相関解析
最近GWASによりIL23R/IL12RB2およびIL10の2遺伝子領域のSNPが疾患発症と強く関係していることを明らかにした。この結果およびHLA多型と, 臨床像との関連について検討した。
研究協力者である愛媛大学の澤崎らが最近開発した, 高感度で高効率な抗体スクリーニングシステムを用い, 疾患特異的に上昇している血清中抗体を網羅的に検索した。
2. 疾患感受性遺伝子多型の検索
以前より, 我々は一塩基多型(SNP)を指標とした全ゲノム関連解析(GWAS)を行っている。本研究課題では, 海外他施設との共同で, 多民族多検体に対し, さらにGWAS研究を押し進めた。
3. 疾患感受性遺伝子と臨床像の相関解析
最近GWASによりIL23R/IL12RB2およびIL10の2遺伝子領域のSNPが疾患発症と強く関係していることを明らかにした。この結果およびHLA多型と, 臨床像との関連について検討した。
結果と考察
1. 患者血清中に13種類の, あるタンパク質に対する自己抗体が, コントロール群に比べ3倍以上の高値を示した。そのうち2種類に関しては15倍以上の高値を示した。
2. 新規GWAS解析により, 4遺伝子領域に新たな遺伝子多型を認めた。そのうちのひとつであるHLA関連蛋白XにおいてはHLA-B51との間で, エピスタティックで非常に強い関連を認めた(P=9x10-4)。
3. ベーチェット病不全型群に比し, 完全型の患者群においては, IL10遺伝子多型を保有する率が有意に高かった(P<0.001)。しかしIL23R/IL12RB2遺伝子多型とHLA多型は臨床症状との関連については認められなかった。
2. 新規GWAS解析により, 4遺伝子領域に新たな遺伝子多型を認めた。そのうちのひとつであるHLA関連蛋白XにおいてはHLA-B51との間で, エピスタティックで非常に強い関連を認めた(P=9x10-4)。
3. ベーチェット病不全型群に比し, 完全型の患者群においては, IL10遺伝子多型を保有する率が有意に高かった(P<0.001)。しかしIL23R/IL12RB2遺伝子多型とHLA多型は臨床症状との関連については認められなかった。
結論
ベーチェット病の疾患特異的自己抗体検索, 新規疾患感受性遺伝子多型検索, 疾患感受性遺伝子と臨床像の相関解析を行った。各研究において期間内に数種類の有望なバイオマーカー候補を見出すことができた。今後, この度得られた結果を確かなものにするためにさらに多検体で検証していく。本研究課題は1年計画であるが, さらに他の競争的研究資金を獲得し, 実際に, 患者個人個人に応じた適切な治療法の選択や予後予測使用可能なバイオマーカーとして確立していくために計画を続行していく。
公開日・更新日
公開日
2013-03-04
更新日
-