文献情報
文献番号
199701007A
報告書区分
総括
研究課題名
効果的な親子のメンタルケアに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
松井 一郎(横浜市港北保健所)
研究分担者(所属機関)
- 松井一郎(横浜市港北保健所)
- 星加明徳(東京医科大学)
- 渡辺久子(慶応義塾大学)
研究区分
心身障害研究費補助金 分野名なし 事業名なし
研究開始年度
平成8(1996)年度
研究終了予定年度
平成9(1997)年度
研究費
0円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、親子関係がつよく関連する小児の代表的疾患(病態)を指定し、実態把握、医学的要因、家庭環境要因、社会的要因、発生機序を明らかにし、効果的な予防対策、治療方法、対応策を検討する事を目的とし、小児の「心の健康」の医療および行政対応に資する。
1.虐待の予防に関する研究(松井一郎)
虐待のハイリスク家庭への具体的な対応指針を作成し、事例の援助と育児支援で虐待発症を未然に防止する。保健婦の地域活動を中核とし、虐待防止に有効な地域(母子保健)システムを構築する。また、家庭支援による再発防止策を検討し、関係機関のネットワークを構築する。
2.小児心身症に関する研究(星加明徳)
小児心身症対応マニュアルを作成し、家族と養護教諭の理解と早期対応に役立てる。背景因子と発症プロセスの解析を継続し、学校と医療機関との連携の円滑化、医療機関でのカウンセリング実態を調査・研究する。
3.神経性食思不振症児に関する研究(渡辺久子)
10代の本症の発生頻度を調査し、診断基準の検討、予防と治療に役立つ患者プロトコールの開発を研究目的とする。
1.虐待の予防に関する研究(松井一郎)
虐待のハイリスク家庭への具体的な対応指針を作成し、事例の援助と育児支援で虐待発症を未然に防止する。保健婦の地域活動を中核とし、虐待防止に有効な地域(母子保健)システムを構築する。また、家庭支援による再発防止策を検討し、関係機関のネットワークを構築する。
2.小児心身症に関する研究(星加明徳)
小児心身症対応マニュアルを作成し、家族と養護教諭の理解と早期対応に役立てる。背景因子と発症プロセスの解析を継続し、学校と医療機関との連携の円滑化、医療機関でのカウンセリング実態を調査・研究する。
3.神経性食思不振症児に関する研究(渡辺久子)
10代の本症の発生頻度を調査し、診断基準の検討、予防と治療に役立つ患者プロトコールの開発を研究目的とする。
研究方法
以下の方法を用いた.
1.虐待の予防に関する研究(松井一郎)
全国主要病院小児科の虐待事例調査(1985-1997)症例をデータベース化,約1,000例の要因解析、地域差、時代変化の解析などを行う。地域虐待防止活動を先進的に実施している地域と共同研究し各種調査や解析を行う。共同研究者9名。
2.小児心身症に関する研究(星加明徳)
研究協力者6名による小児心身症の専門外来担当医師の診療録の共同調査、及び家族アンケート調査。養護教諭アンケート調査を行う。
3.神経性食思不振症児に関する研究(渡辺久子)
女子中学生の小・中学時代の成長曲線を解析する。
1.虐待の予防に関する研究(松井一郎)
全国主要病院小児科の虐待事例調査(1985-1997)症例をデータベース化,約1,000例の要因解析、地域差、時代変化の解析などを行う。地域虐待防止活動を先進的に実施している地域と共同研究し各種調査や解析を行う。共同研究者9名。
2.小児心身症に関する研究(星加明徳)
研究協力者6名による小児心身症の専門外来担当医師の診療録の共同調査、及び家族アンケート調査。養護教諭アンケート調査を行う。
3.神経性食思不振症児に関する研究(渡辺久子)
女子中学生の小・中学時代の成長曲線を解析する。
結果と考察
以下のとおりである。
1.虐待予防班
全班員の研究を基盤にして、発症前の虐待ハイリスク支援と虐待発生予防の保健婦活動ハンドブックを作成し、地域(保健所を中心)活動の具体的指針が可能となった。
家庭支援による再発防止策検討の基礎として、虐待家庭の重症度の解析から危険度の定量的評価を検討し数量的評価を行い、保健婦の援助介入の必要性の判断が可能となった。医療・行政・教育の連携による虐待対策モデル(和歌山)で毎年虐待数が増加し、啓蒙効果が示され、援助した虐待ハイリスク家庭での虐待への進行は23%に留まり、予防的対応は有効であった。小児科全国調査から虐待発生は都市部のみならず田舎や僻地でも発生しており、虐待防止の地域システムは全域をカバーする必要がある。
子どもの心の健康づくりの効果的な推進方策は育児支援・虐待防止のモデル保健所で少産少子化時代のコミュニティ活動を展開することが重要と考えられた。同時に小児期からの人間性・親性(母性、父性)の育成対策が重要である。
2.小児心身症班
小児科外来で頻度の高い夜尿、チック、夜驚、過敏性腸症候群、不登校、神経性食欲不振症の6種につき家庭用および養護教諭用の対応マニュアルを班員全員協力で作成し、また後者には保健室頻回来室者を中心にどのような場合に医療機関受診を進めるか、不登校の初期対応、ほか対応指針を含めた。
363医療機関(大学病院、こども病院、診療所)の小児医療における外来カウンセリング実態の調査で、小児心身症を担当する1日平均患者数は99名以下で、心身症専門外来では午前または午後の1単位で4名以下、初診に45分から1時間が多かった。
3.神経性食思不振症班
発症頻度の根拠となる痩せ率について、幼児期からの身長・体重による固有の成長曲線に基づく新しい発病スクリーニング法を提案し、78名の女子中学生で妥当性を検討した。その結果、正常群、境界群、異常群の3群に分類され最後の異常群が本性リスク群につながり、摂食行動異常を伴う場合に発病と診断できる。78名中3名(3.8%)が医療機関で本性の診断を受けていた。
プロトコールに関して、思春期の心身発育に関する代謝内分泌機能を検討し項目化した。
1.虐待予防班
全班員の研究を基盤にして、発症前の虐待ハイリスク支援と虐待発生予防の保健婦活動ハンドブックを作成し、地域(保健所を中心)活動の具体的指針が可能となった。
家庭支援による再発防止策検討の基礎として、虐待家庭の重症度の解析から危険度の定量的評価を検討し数量的評価を行い、保健婦の援助介入の必要性の判断が可能となった。医療・行政・教育の連携による虐待対策モデル(和歌山)で毎年虐待数が増加し、啓蒙効果が示され、援助した虐待ハイリスク家庭での虐待への進行は23%に留まり、予防的対応は有効であった。小児科全国調査から虐待発生は都市部のみならず田舎や僻地でも発生しており、虐待防止の地域システムは全域をカバーする必要がある。
子どもの心の健康づくりの効果的な推進方策は育児支援・虐待防止のモデル保健所で少産少子化時代のコミュニティ活動を展開することが重要と考えられた。同時に小児期からの人間性・親性(母性、父性)の育成対策が重要である。
2.小児心身症班
小児科外来で頻度の高い夜尿、チック、夜驚、過敏性腸症候群、不登校、神経性食欲不振症の6種につき家庭用および養護教諭用の対応マニュアルを班員全員協力で作成し、また後者には保健室頻回来室者を中心にどのような場合に医療機関受診を進めるか、不登校の初期対応、ほか対応指針を含めた。
363医療機関(大学病院、こども病院、診療所)の小児医療における外来カウンセリング実態の調査で、小児心身症を担当する1日平均患者数は99名以下で、心身症専門外来では午前または午後の1単位で4名以下、初診に45分から1時間が多かった。
3.神経性食思不振症班
発症頻度の根拠となる痩せ率について、幼児期からの身長・体重による固有の成長曲線に基づく新しい発病スクリーニング法を提案し、78名の女子中学生で妥当性を検討した。その結果、正常群、境界群、異常群の3群に分類され最後の異常群が本性リスク群につながり、摂食行動異常を伴う場合に発病と診断できる。78名中3名(3.8%)が医療機関で本性の診断を受けていた。
プロトコールに関して、思春期の心身発育に関する代謝内分泌機能を検討し項目化した。
結論
虐待予防班では、虐待ハイリスク予防のための「育児支援・虐待予防のための保健婦活動ハンドブック(案)」を作成し、この目的の地域母子保健活動の基盤ができた。実践活動でモデル保健所を指定し検討したい。小児心身症班では、小児心身症6疾患の家族用マニュアル及び養護教諭用のマニュアルを作成、いずれも小児心身症対応の基盤ができた。今後改善を加えていく。神経性食欲不振症の診断基準の新スクリーニング法を開発した。今後大きな集団の検討を進める。
公開日・更新日
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