急性高度難聴に関する調査研究

文献情報

文献番号
201128177A
報告書区分
総括
研究課題名
急性高度難聴に関する調査研究
課題番号
H23-難治・一般-021
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小川 郁(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 喜多村 健(東京医科歯科大学 医学部)
  • 中島 務(名古屋大学 医学部)
  • 宇佐美 真一 (信州大学 医学部)
  • 岡本 牧人(北里大学 医学部)
  • 暁 清文(愛媛大学 医学部)
  • 福田 諭(北海道大学 医学部)
  • 佐藤 宏昭(岩手医科大学 医学部)
  • 山岨 達也(東京大学 医学部)
  • 原 晃(筑波大学 医学部)
  • 福島 邦博(岡山大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では対象疾患を1)急性高度感音難聴(突発性難聴、外リンパ瘻、ムンプス難聴、急性低音障害型感音難聴、急性音響性難聴)と2)進行性または慢性高度感音難聴(遺伝性難聴、特発性進行性感音難聴、老人性難聴、騒音性難聴)として、各疾患の難聴発症メカニズムを解明し、その治療・予防法を確立することが目標である。今回は特に10年毎に行ってきた急性感音難聴の全国疫学調査を実施することと、これまで作成してきた診断基準を見直し、新しい診断基準に基づいた診療ガイドラインを作成すること、高度感音難聴発症に関与する遺伝子または遺伝子変異を検出し、難聴発症機構を分子細胞レベルで解明することを大きな目的とする。
研究方法
各班員に各研究企画分担して、3年計画の1年目として以下の研究準備または実際の研究を行った。
結果と考察
施設横断的研究として各疾患の1)疫学調査:10年に1回の突発性難聴の全国疫学調査のため、疫学調査班(小橋元班員)と準備した。2)診断基準の見直しに関しては外リンパ瘻調査研究班と協力して外リンパ瘻の診断基準の見直しを行った。その結果から、診療ガイドライン作成のためのコンテンツと役割分担を決めた。3)発症や予後に関連する遺伝子または遺伝子異常の検出について検討した。「難治性内耳疾患の遺伝子バンク構築研究班」の遺伝子バンク構築事業を継続した。4)突発性難聴のQOLへの影響について調査した。次年度で結果を解析する。5)発症と予後に関わるバイオマーカーの検索:急性感音難聴における血中酸化ストレス代謝物の測定、急性感音難聴の発症•予後に関わるバイオマーカーの測定を終了した。6)新しい鼓室内局所療法の有効性の検証:急性高度感音難聴の新しい治療法としてのステロイド鼓室内注入療法の多施設臨床試験を行った。 7) 2005年度から行ってきた急性低音障害型感音難聴の単剤治療の臨床成績を解析した。
結論
超高齢社会を迎えて10年後には聴覚障害者は3?4倍にも増加すると予測されている。しかし、多くの急性高度感音難聴および進行性または慢性高度感音難聴の病態は未だ不明であり、その診断・治療も確立されていない。高度聴覚障害は重篤なコミュニケーション障害を来たし、高齢者のQOLに大きく影響する。国民の健康増進という厚生労働行政上の観点からも、その病態解明および治療法・予防法の確立は重要であり、今後一層研究を進めたい。

公開日・更新日

公開日
2013-03-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128177Z