ベーチェット病に関する調査研究

文献情報

文献番号
201128162A
報告書区分
総括
研究課題名
ベーチェット病に関する調査研究
課題番号
H23-難治・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
石ヶ坪 良明(横浜市立大学 大学院医学研究科 病態免疫制御内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 大野 重昭(北海道大学大学院医学研究科 視覚器病学分野)
  • 猪子 英俊(東海大学医学部分子生命学系遺伝部門、分子遺伝学)
  • 岩渕 和也(北里大学医学部免疫学)
  • 鈴木 登(聖マリアンナ医科大学 免疫・病害動物学)
  • 桑名 正隆(慶應義塾大学医学部 内科学)
  • 水木 信久(横浜市立大学大学院医学研究科 視覚器病態学)
  • 広畑 俊成(北里大学医学部 膠原病・感染内科学)
  • 黒沢 美智子(順天堂大学医学部衛生学教室)
  • 蕪城 俊克(東京大学大学院医学系研究科外科学専攻眼科学)
  • 後藤 浩(東京医科大学眼科学)
  • 中村 晃一郎(埼玉医科大学 皮膚科 )
  • 齋藤 和義(産業医科大学医学部第一内科学講座)
  • 岳野 光洋(横浜市立大学 大学院医学研究科 病態免疫制御内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
34,488,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ベーチェット病(BD)の診療レベルを国全体として向上させることを目的とした病型別の診療ガイドラインの作成と普及を最大の目標とする。また、昨年度までにGWASで解明された疾患感受性遺伝子を中心として、BD免疫異常の分子レベルでの機能的解析により病態を解明する。さらに病態に基づく新規治療の開発、臨床に役立つバイオマーカーの同定を目指す。
研究方法
①臨床研究:個々の施設での後方視的研究(東大・ブドウ膜炎経年変遷、横浜市大・ブドウ膜炎へのインフリキシマブ(IFX)、産業医大・腸管型へのIFXなど)、研究班内共同研究(血管型)、国内専門施設アンケート(腸管型・神経型)、臨床個人調査票を用いた予後解析、国際疫学研究(ブドウ膜炎)などを行った。②病因・病態研究:GWASで同定した感受性遺伝子と病型、治療反応性などの関連解析、患者検体、実験動物を用いたTh1/Th17、NKT細胞などの免疫異常を解析した。
結果と考察
①眼病変:国際疫学調査での第一選択薬の主体はコルヒチン、PSLであり、これを踏まえ「眼病変診療ガイドライン」の英訳を進めた。また、国内では近年の治療進歩と医療体系の変化により患者数減、軽症化傾向、特殊病型合併例の増加などが観察された。IFX治療中の眼発作出現にはIFX血中濃度低下、HACA陽性が関与し、投与期間短縮で効果は回復した。②腸管型:アンケート調査で現診療ガイドライン案は高評価だったが、抗TNF抗体治療のオプション治療から標準治療への格上げ、疑い例、境界例への指針、重症度評価とこれに対応した治療指針の作成が求められた。③神経型:急性型の約3割を占めるシクロスポリン関連神経病変は同剤中止、ステロイド投与により改善し、薬剤継続・再投与例以外での再発は見らなかった。④血管型:研究班内施設症例(105例)の解析では、EULARで使用回避が推奨される抗凝固・抗血小板療法が約8割に使用されていたが、重篤な出血合併症なかった。⑤GWAS同定の疾患感受性遺伝子のうちIL10リスクアリルが皮膚粘膜症状の出現と関連していたが、治療反応性とは相関なかった。⑥ 患者リンパ球はTh1/Th17の活性化があり、これにICOS経路も関与していた。
結論
療ガイドラインの作成、改訂およびその普及は進みつつある。GWAS同定の疾患感受性遺伝子を軸にした病態解明もさらに進めていく。また、これら成果は第15回国際ベーチェット病会議(7月、横浜)で発表し、世界にもアピールしていく。

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128162Z