原発性免疫不全症候群に関する調査研究

文献情報

文献番号
201128159A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性免疫不全症候群に関する調査研究
課題番号
H23-難治・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
原 寿郎(国立大学法人九州大学 医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 宮脇 利男(富山大学 大学院医学薬学研究部)
  • 有賀 正(北海道大学 大学院医学研究科)
  • 野々山 恵章(防衛医科大学校 医学研究科)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学 大学院発達病態小児科)
  • 上松 一永(信州大学 大学院医学研究科)
  • 近藤 直実(岐阜大学 大学院医学系研究科)
  • 小島 勢二(名古屋大学 大学院発育・加齢医学)
  • 谷内江 昭宏(金沢大学 大学院医学系研究科)
  • 平家 俊男(京都大学 大学院医学研究科)
  • 小林 正夫(広島大学 大学院病態情報医科学)
  • 布井 博幸(宮崎大学 医学部)
  • 横田 俊平(横浜市立大学 大学院医学研究科)
  • 中畑 龍俊(京都大学 iPS細胞研究センター)
  • 峯岸 克行(東京医科歯科大学 大学院免疫アレルギー学)
  • 笹原 洋二(東北大学 大学院医学系研究)
  • 河野 肇(帝京大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
34,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は、患者実態の把握、診断や治療に関する患者や主治医への専門的情報提供、診断スクリーニング法の開発や遺伝子解析システムの整備、病因・病態解析、治療ガイドラインの作成、治療法の改良等を介して原発性免疫不全症患者QOLと医療水準の向上に貢献することを目的とする。
研究方法
(1) 疫学調査研究:全国疫学調査データを詳細に検討し、国内症例の特徴を明らかにする。(2) 新規診断法の開発と遺伝子解析:各疾患の病態を基に迅速診断法を開発する。遺伝子解析は理化学研究所、かずさDNA研究所で行う。(3) 責任遺伝子、病態の解明:遺伝子アレイ法やエキソーム解析などを駆使し、責任遺伝子を同定する。iPS細胞やヒト化マウスを取り入れた病態解析を行う。(4) 治療ガイドライン作成、新規治療法の開発:最適な治療ガイドラインを作成し提示する。安全なベクターを用いた遺伝子治療や遺伝子修復法の開発研究を行う。(5) 患者家族や医療者への情報提供:治療指針、造血幹細胞移植のガイドラインなどの情報をホームページに掲載する。QOL調査を推進する。
結果と考察
(1) 全国疫学調査の解析結果:原発性免疫不全症患者は健常者と比較して、内分泌疾患の発症が著しく多いことを明らかにした。(2) 迅速診断法の開発、PIDJプロジェクト: 国内外のIRAK4欠損症の臨床像を明らかにした。CINCA症候群体細胞モザイク症例の次世代シーケンサーを用いた診断法を樹立した。平成23年12月時点でのPIDJ登録患者数は1343人、解析した遺伝子数はのべ3315遺伝子であった。(3) 責任遺伝子の同定や病態の解明:患者由来iPS細胞を作成し、血球系細胞へ分化させることに成功した。慢性皮膚粘膜カンジダ症の責任遺伝子を同定した。高IgE症候群の骨病変発症機構を解明した。XLAでみられる好中球減少のメカニズムを解明した。MonoMAC症候群の国内症例を同定し、責任遺伝子解明にむけたエキソーム解析行った。C3欠損症の遺伝子異常と臨床像の関連を明らかにした。 (4) 治療ガイドライン作成と新規治療法の開発:高IgM症候群の造血幹細胞移植ガイドライン、慢性肉芽腫症患者におけるBCG感染症治療ガイドラインを作成し公開した。外胚葉形成不全症難治性腸炎に対する Infliximabの有効性を明らかにした。MonoMAC症候群やSAP欠損症に対する造血幹細胞移植の有用性を明らかにした。(5) 講演会や相談会などで患者家族や医療者への継続的に情報提供を行っている。
結論
原発性免疫不全症候群患者のQOLと医療水準の向上に向け活発な活動を展開することができたものと考える。

公開日・更新日

公開日
2013-03-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128159Z