脊柱変形に合併した胸郭不全症候群の全国実態調査により把握された患者の継続調査と二次性の原因により発症する胸郭不全症候群の全国調査

文献情報

文献番号
201128152A
報告書区分
総括
研究課題名
脊柱変形に合併した胸郭不全症候群の全国実態調査により把握された患者の継続調査と二次性の原因により発症する胸郭不全症候群の全国調査
課題番号
H22-難治・一般-193
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
川上 紀明(国家公務員共済組合連合会 名城病院 整形外科/脊椎脊髄センター)
研究分担者(所属機関)
  • 伊東 学(北海道大学医学部附属病院 整形外科)
  • 今釜 史郎(名古屋大学大学院医学系研究科 整形外科)
  • 宇野 耕吉(独立行政法人国立病院機構神戸医療センター 整形外科)
  • 種市 洋(獨協医科大学 整形外科)
  • 竹下 克志(東京大学医学部附属病院 整形外科)
  • 辻 太一(国家公務員共済組合連合会名城病院 整形外科/脊椎脊髄センター)
  • 平野 徹(新潟大学医歯学総合病院 整形外科)
  • 藤原 憲太(大阪医科大学整形外科学教室)
  • 松本 守雄(慶應義塾大学医学部附属病院 整形外科)
  • 南 昌平(聖隷佐倉市民病院 整形外科)
  • 柳田 晴久(福岡市立こども病院・感染症センター 整形外科)
  • 山崎 健(岩手医科大学医学部 整形外科)
  • 山元 拓哉(鹿児島大学医学部 整形・運動機能センター)
  • 渡邉 航太(慶應義塾大学先進脊椎脊髄病治療学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
側弯の大きさや部位、胸郭の形態、呼吸機能の評価をもとにして胸郭不全症候群を引き起こす要因の解明を目指し、早期診断方法の確立と重症度の評価を行い、成長を温存した手術治療のガイドライン作成を目指す。
研究方法
①平成21年度調査により把握された本疾患を有する患者への継続調査 (自然経過)
②国内の主要医療機関における10歳以下の手術症例の調査と分析。
③各都道府県における過去3年間の出生における胸郭不全症候群の発生率の調査
結果と考察
本疾患の全国における年平均の発生率が明確になり、長期的な本疾患患者の病態を年ごとに評価できるシステムの構築が可能となる。また、本疾患に対する診断・治療方針指針の明確化により、医師並びに患者(家族)に対し発生率、自然経過、悪化因子などを提示することが可能となり、的確な治療の選択とその実施により患者の生命予後のみならず生活の質を維持し、また高めることができる。
結論
 平成21年度から開始した脊柱変形に伴う胸郭不全症候群の実態調査と診断、治療方針の評価の研究で、その発生率、一部の疾患ではあるが自然経過における悪化率や悪化因子が明らかになった。また、従来の手術(早期固定)とgrowing rodの成績の比較ができ、その問題点をも明確にできた。VEPTR手術については認可後3年しか経過しておらず、その効果を判定するには時期尚早であるが、一定の手術効果は認められた。しかし、未だ多方面に及ぶ本症候群の研究は不十分で治療方針のガイドライン作成にはもう少し症例と時間が必要である。今後も一つ一つ疾患と所例を積み上げ施設ごとの垣根を越えた研究活動が必要である。

公開日・更新日

公開日
2013-03-12
更新日
-

文献情報

文献番号
201128152B
報告書区分
総合
研究課題名
脊柱変形に合併した胸郭不全症候群の全国実態調査により把握された患者の継続調査と二次性の原因により発症する胸郭不全症候群の全国調査
課題番号
H22-難治・一般-193
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
川上 紀明(国家公務員共済組合連合会 名城病院 整形外科/脊椎脊髄センター)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 学(北海道大学医学部附属病院 整形外科)
  • 今釜 史郎(名古屋大学大学院医学系研究科 整形外科)
  • 宇野 耕吉(独立行政法人国立病院機構神戸医療センター 整形外科)
  • 種市 洋(獨協医科大学 整形外科)
  • 竹下 克志(東京大学医学部附属病院 整形外科)
  • 辻 太一(国家公務員共済組合連合会名城病院 整形外科/脊椎脊髄センター)
  • 平野 徹(新潟大学医歯学総合病院 整形外科)
  • 藤原 憲太(大阪医科大学整形外科学教室)
  • 松本 守雄(慶應義塾大学医学部附属病院 整形外科)
  • 南 昌平(聖隷佐倉市民病院 整形外科)
  • 柳田 晴久(福岡市立こども病院・感染症センター 整形外科)
  • 山崎 健(岩手医科大学医学部 整形外科)
  • 山元 拓哉(鹿児島大学医学部 整形・運動機能センター)
  • 渡邉 航太(慶應義塾大学先進脊椎脊髄病治療学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
側弯の大きさや部位、胸郭の形態、呼吸機能の評価をもとにして胸郭不全症候群を引き起こす要因の解明を目指し、早期診断方法の確立と重症度の評価を行い、成長を温存した手術治療のガイドライン作成を目指す。
研究方法
全国の主要な施設の脊椎疾患を専門とする整形外科医師から本疾患を日常から診療している医師を集めて研究班を組織し、全国450施設に対するアンケート調査にて得た資料を元にして、患者データを後ろ向きおよび前向きに収集、分析を行い、該当患者の基礎・臨床情報をテーマごとに検討した。
結果と考察
研究対象である患者数の少なさがあるため、決して順調には研究が進んだとは言えず、その診断基準や治療ガイドラインと言えるしっかりしたものは未だ作成できない状況ではいるが、過去に行われてきた治療法の問題点を明らかにするとともに、本邦における発生頻度や解析方法、病態の把握、年齢と側弯と胸郭変形の悪化率からみた重症度分類の提唱など、着実に研究成果が得られてきた。
結論
平成21年度から開始した脊柱変形に伴う胸郭不全症候群の実態調査と診断、治療方針の評価の研究で、その発生率、一部の疾患ではあるが自然経過における悪化率や悪化因子が明らかになった。また、従来の手術(早期固定)とgrowing rodの成績の比較ができ、その問題点をも明確にできた。VEPTR手術については認可後3年しか経過しておらず、その効果を判定するには時期尚早であるが、一定の手術効果は認められた。しかし、未だ多方面に及ぶ本症候群の研究は不十分で治療方針のガイドライン作成にはもう少し症例と時間が必要である。今後も一つ一つ疾患と所例を積み上げ施設ごとの垣根を越えた研究活動が必要である。

公開日・更新日

公開日
2013-03-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201128152C

成果

専門的・学術的観点からの成果
協同多施設研究により、発生頻度が少なく単施設では検討が不可能であった脊柱変形に伴う胸郭不全症候群を具体的な疾患(肋骨異常を伴う先天性側弯症、早期発症側弯症、Mafran症候群、先天性心疾患に伴う側弯症、二分脊椎)に分けて調査することができた。その結果、1)発生率は0.0239%、2)肋骨異常を伴う先天性側弯症の自然経過として進行予測のgrading scaleを作成、3)以前行われていた早期脊椎固定術と現在も行っているgrowing rod手術の治療成績の差が明白にできた、などの研究成果を得た。
臨床的観点からの成果
10才以下の小児における脊柱変形とそれに由来する胸郭変形は症例数も少なく、その発生頻度、自然経過、治療成績が十分な症例数において報告できなかった。この点で、今回、毎年本疾患を有する患児が200人前後生まれること、自然経過としては進行性であるが、種々の悪化危険因子が先天性脊柱変形にあること、治療には成長温存した手術治療が有用であるが問題点も多いこと、などを確認できた。今後の新しい治療としてVEPTRが期待できるが、合併症も決して少なくなく、VEPTRの問題点も明らかになってきた。
ガイドライン等の開発
未だ胸郭不全症候群の診断基準が明確ではなく、今後呼吸器小児科医との連携が必要となるなど課題が山積みである。ガイドラインは未だできていないが、肋骨異常に伴う先天性側弯症においてはその自然経過を元にした悪化進行予測の参考となるgrading scaleを作成し、報告した。(第46回Annual meeting of Scoliosis Society, Louisville, Kentucky, USA, 9月14-17日2011年、第45回日本側弯症学会、久留米、10月26-27日2011年)
その他行政的観点からの成果
行政的観点からの成果としては十分な成果が得られたとは言えなかった。しかし、未だ疾患概念が広く知れわたっていない胸郭不全症候群とVEPTR治療について各科の垣根を取り除くための草の根運動として本疾患をターゲットにした研究班の設立は本疾患の重篤性や早期治療の必要性を行政にもある程度アピールできたと考えている。
その他のインパクト
201011月8日、2012年1月7日の2回にわたりTIS研究報告会(TIS:胸郭不全症候群)を開催した。この回は整形外科のみの会ではなく、小児外科の医師や小児科にも案内して本疾患の概念を多分野の領域でも知れわたるように努めた。また、患者会にも参加を促し、患者の視点での話もお願いし、患者―医師間の意思疎通を促し、研究治療の協力体制を築きあげることを模索した。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
17件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
15件
学会発表(国際学会等)
28件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件
TIS研究報告会

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
N.Kawakami,T.tsuji,H.Yanagida et al.
Radiographic analysis of the progression of congenital scoliosis with rib anomalies during the growth period
ArgoSpine NEWS&JOURNAL (In Press) , 24 (2)  (2012)

公開日・更新日

公開日
2014-05-22
更新日
2015-05-21

収支報告書

文献番号
201128152Z