文献情報
文献番号
201128148A
報告書区分
総括
研究課題名
両側性蝸牛神経形成不全症のサブタイプ分類に基づく診療指針の確立
課題番号
H22-難治・一般-189
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
松永 達雄(独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター 聴覚・平衡覚研究部 聴覚障害研究室)
研究分担者(所属機関)
- 泰地 秀信(国立成育医療センター耳鼻咽喉科)
- 守本 倫子(国立成育医療センター耳鼻咽喉科)
- 坂田 英明(目白大学言語聴覚学科、埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科)
- 浅沼 聡(埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科)
- 仲野 敦子(千葉県こども病院耳鼻咽喉科)
- 高木 明(静岡県立総合病院耳鼻咽喉科)
- 阪本 浩一(兵庫県立こども病院 耳鼻咽喉科)
- 大津 雅秀(兵庫県立こども病院耳鼻咽喉科)
- 南 修司郎(独立行政法人国立病院機構東京医療センター耳鼻咽喉)
- 加我 君孝(独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター)
- 増田 佐和子(独立行政法人国立病院機構三重病院耳鼻咽喉科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
蝸牛神経形成不全症(Cochlear Nerve Aplasia: CNA)は、原因不明の蝸牛神経発生障害による先天性高度難聴である。先天性高度難聴は出生1000人に1-2人に認められ、その5-15%が本症であることが近年明らかになった。本研究では1)画像検査に基づいたサブタイプ分類とその頻度および臨床的特徴の解明、2)遺伝的背景の解明と遺伝カウンセリングへの活用、3)サブタイプ別診療指針の確立の3点を目的とした。
研究方法
サブタイプ分類の臨床的特徴を解明するためのケースコントロール研究および遺伝的背景を解明するためのケースコントロール研究を実施してデータベースを構築し、これを基に過去の報告を検討して遺伝子診断も含めた診療指針を作成した。遺伝子診断に関しては遺伝子解析の結果を基に遺伝カウンセリングを実施して、その効果を評価して適正な活用方法を定めた。
結果と考察
CNA123例171耳(このうち両側性は48例)まで登録と検討が進み、小児難聴では蝸牛神経管狭窄が9.1%、内耳道狭窄が5.8%で認められ、蝸牛神経管狭窄の5-8%が両側性であり、24-57%で内耳道狭窄を合併し、両側性CNAの50-90%で内耳奇形を合併することが判明した。一側性CNAとの比較では、両側性CNAが内耳奇形、脳奇形、合併疾患、内耳機能障害を高率に伴うことが特徴であった。日本でのCNA画像診断の現況からは、わが国のサブタイプ分類はCTで蝸牛神経管狭窄、内耳道狭窄、内耳奇形を評価するのが実際的と考えられた。これに加えて臨床症状、特に合併症による症候群性と非症候群性の鑑別および症候群の診断、そして遺伝子診断結果を基にサブタイプ分類することで、より適正な診療方針を決められることが示された。各サブタイプの聴覚、治療に対する効果、遺伝的背景の解析結果も集積され、以上の成果を基にした両側性CNAの診療指針の原案が作成された。
結論
日本でのCNA画像診断の現況からわが国のサブタイプ分類が示された。また、臨床症状、特に合併症による症候群性と非症候群性の鑑別および症候群の鑑別診断、そして遺伝子診断結果を基にサブタイプ分類することで、より適正な診療方針を決めることが可能となることが示された。これらの成果から両側性CNAの診療指針(案)を作成した。
公開日・更新日
公開日
2015-06-10
更新日
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