遺伝性ポルフィリン症の全国疫学調査ならびに診断・治療法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
201128139A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝性ポルフィリン症の全国疫学調査ならびに診断・治療法の開発に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-180
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
川田 暁(近畿大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 雅雄(東京都市大学 生命科学)
  • 前田 直人(鳥取大学 医学部)
  • 上出 良一(東京慈恵会医科大学附属第三病院皮膚科)
  • 大門 真(山形大学 医学部)
  • 中野 創(弘前大学 医学部)
  • 竹谷 茂(京都工芸繊維大学 工芸科学研究科)
  • 川原 繁(金沢赤十字病院 皮膚科)
  • 高村 昇(長崎大学 放射線疫学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遺伝性ポルフィリン症は極めて稀な疾患であり、これまで本邦における実態は不明であった。平成22-23年度に本研究班による研究「遺伝性ポルフィリン症の全国疫学調査ならびに診断・治療法の開発に関する研究」が実施され、様々な結果を得た。本研究では患者実態調査・診断基準作成・遺伝子学的検索・新規治療法の開発と実用化・診断治療の手引き作成・患者QOL調査と向上・本症の啓蒙活動を実施することを目的とした。
研究方法
平成22年度の全国疫学一次調査の結果を参考に二次調査を行なう。各疾患の発症誘因、治療、合併症、予後を詳細に検討する。本症を臨床症状と生化学的検査から診断できるよう、生化学的検査データを検討する。各患者や家族の遺伝子解析によって家系調査を詳細に行なう。本症の治療法を外用薬を用いて開発する。診断・治療の手引きを作成するために、調査で得られたデータを検討解析する。患者のQOLの実態を調査する。患者と医療従事者間のネットワークを構築する。一般市民に本症を理解してもらうために市民講座を主催する。
結果と考察
1) 全国疫学二次調査を実施し、本邦の皮膚型ポルフィリン症患者の詳しい実態を把握した。2) 生化学的データの詳細な解析により診断基準案を検証し、今後の診断基準作成への土台を築いた。3) 遺伝子学的検索により本症の遺伝子異常が欧米と異なることが示され、本症の病態解明に寄与した。4) 新たな治療法として外用治療薬を開発し、実際の使用を開始し、有効性と安全性を検討した。5)「遺伝性ポルフィリン症の診断・治療の手引き (案)」を改定し、一般医療者向けの診断・治療の手引きとして利用可能となった。6) 患者QOL調査を継続し、本症と精神的健康度との関連を明らかにした。7) 患者相談窓口の全国展開を継続し、患者と医療関係者間のネットワークを充実させた。8) 本研究班のホームページを継続し、2回目の市民講座を開催し、本症の啓蒙活動を行なった。以上の研究において多大な成果を挙げた。

結論
これらの研究を通じて、本邦の遺伝性ポルフィリン症の患者の実態を明らかにするという、本研究の目的は十分に達成できた。診断・解析方法を改善した。さらに実際の治療・予防への応用や患者QOL向上により、患者自身に直接的な利益をもたらしたことは、きわめて意義深いと考える。

公開日・更新日

公開日
2013-03-12
更新日
-

文献情報

文献番号
201128139B
報告書区分
総合
研究課題名
遺伝性ポルフィリン症の全国疫学調査ならびに診断・治療法の開発に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-180
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
川田 暁(近畿大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 雅雄(東京都市大学 生命科学)
  • 前田 直人(鳥取大学 医学部)
  • 上出 良一(東京慈恵会医科大学附属第三病院 皮膚科)
  • 大門 真(山形大学 医学部)
  • 中野 創(弘前大学 医学部)
  • 竹谷 茂(京都工芸繊維大学 工芸科学研究科)
  • 川原 繁(金沢赤十字病院 皮膚科)
  • 高村 昇(長崎大学 放射線疫学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遺伝性ポルフィリン症は極めて稀な疾患であり、これまで本邦における実態は不明であった。平成22-23年度に本研究班による研究「遺伝性ポルフィリン症の全国疫学調査ならびに診断・治療法の開発に関する研究」が実施され、様々な結果を得た。本研究では患者実態調査・診断基準作成・遺伝子学的検索・新規治療法の開発と実用化・診断治療の手引き作成・患者QOL調査と向上・本症の啓蒙活動を実施することを目的とした。
研究方法
平成22年度の全国疫学一次調査の結果を参考に二次調査を行なう。各疾患の発症誘因、治療、合併症、予後を詳細に検討する。本症を臨床症状と生化学的検査から診断できるよう、生化学的検査データを検討する。各患者や家族の遺伝子解析によって家系調査を詳細に行なう。本症の治療法を外用薬を用いて開発する。診断・治療の手引きを作成するために、調査で得られたデータを検討解析する。患者のQOLの実態を調査する。患者と医療従事者間のネットワークを構築する。一般市民に本症を理解してもらうために市民講座を主催する。
結果と考察

1) 全国疫学二次調査を実施し、本邦の皮膚型ポルフィリン症患者の詳しい実態を把握した。2) 生化学的データの詳細な解析により診断基準案を検証し、今後の診断基準作成への土台を築いた。3) 遺伝子学的検索により本症の遺伝子異常が欧米と異なることが示され、本症の病態解明に寄与した。4) 新たな治療法として外用治療薬を開発し、実際の使用を開始し、有効性と安全性を検討した。5)「遺伝性ポルフィリン症の診断・治療の手引き (案)」を改定し、一般医療者向けの診断・治療の手引きとして利用可能となった。6) 患者QOL調査を継続し、本症と精神的健康度との関連を明らかにした。7) 患者相談窓口の全国展開を継続し、患者と医療関係者間のネットワークを充実させた。8) 本研究班のホームページを継続し、2回目の市民講座を開催し、本症の啓蒙活動を行なった。以上の研究において多大な成果を挙げた。
結論
これらの研究を通じて、本邦の遺伝性ポルフィリン症の患者の実態を明らかにするという、本研究の目的は十分に達成できた。診断・解析方法を改善した。さらに実際の治療・予防への応用や患者QOL向上により、患者自身に直接的な利益をもたらしたことは、きわめて意義深いと考える。

公開日・更新日

公開日
2013-03-12
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201128139C

成果

専門的・学術的観点からの成果
遺伝性ポルフィリン症は極めて稀な疾患であり、これまで本邦における実態は不明であった。また多くの臨床科で診察されてきたため、正しい情報を共有することが困難であった。平成22-23年度の本研究班による研究において、全国疫学調査・遺伝子学的検索・診断基準案作成・診断治療の手引き作成が行なわれた。これによって、ポルフィリン症の本邦における専門家 (臨床医と基礎研究者)の意見が初めて集約され、かつ公開されたため、きわめて意義が大きいと考える。
臨床的観点からの成果
遺伝性ポルフィリン症は極めて稀な疾患であるため、本態の解明が困難であった。本研究班によって全国疫学調査と遺伝子学的検索が行なわれた。その結果、臨床的側面と遺伝子的な側面の両方の視点から、本症の病態解明が大きく進歩した。また皮膚型ポルフィリン症において新規治療法が開発・実用化された。患者QOL調査も実施された。これらは患者に対して直接的な利益になることが予想され、その意義は大きいと考える。
ガイドライン等の開発
遺伝性ポルフィリン症は極めて稀な疾患であるため、正しい診断や適切な治療を行なうことが困難であった。本研究班では、本症のエキスパートである内科医や皮膚科医・生化学者が、全国疫学調査や生化学的データの詳しい解析結果に基づいて、診断基準案と診断治療の手引きを作成した。さらに本研究班のホームページ上に公開した。これらは一般臨床医にとって理解しやすくかつ実用的であると思われ、今後実際の診療において活用されることが期待される。
その他行政的観点からの成果
遺伝性ポルフィリン症は国際的にも重要な疾患であり、かつ難病としての側面もある。しかし、これらの総合的な検討は海外ではほとんどみられない。したがってその意味からも、今後本研究班の研究が世界で注目されることと思われる。本研究は「患者の立場に立った総合的研究」という視点のもとで遂行されている。特に治療法・予防法の開発、患者QOLの向上、ホームページ・市民講座などの活動はより患者に寄与する部分が大きい。今後の難病研究の在り方としてもそのモデルとして注目されると思われる。
その他のインパクト
2010年度に市民講座を大阪市で主催し (2011年1月9日)、45名の出席があった。2011年度は東京で市民講座を主催し (2011年7月31日)、33名の出席があった。さらに新潟、東京、大阪、広島、島根の済生会の5病院で形成したネットワークを用いて、2010年度に「ポルフィリン症」の相談窓口の全国展開を開始し、本年度も継続した。そこで多くの相談を受け、さらに実際の患者に対する診察も行なった。今後は全国の医師からも情報を共有できるシステムを構築する予定である。

発表件数

原著論文(和文)
18件
原著論文(英文等)
8件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
24件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-22
更新日
2016-06-13

収支報告書

文献番号
201128139Z