文献情報
文献番号
201128129A
報告書区分
総括
研究課題名
Rubinstein-Taybi症候群の臨床診断基準の策定と新基準にもとづく有病率の調査研究
課題番号
H22-難治・一般-170
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小崎 里華(独立行政法人国立成育医療研究センター 内科系診療部)
研究分担者(所属機関)
- 水野 誠司(愛知県心身障害者コロニー中央病院 臨床第一部)
- 岡本 伸彦(地方独立行政法人 大阪府立病院機構 大阪府立母子保健総合医療センター)
- 小崎 健次郎(慶應義塾大学 医学部 臨床遺伝学センター)
- 黒澤 健司(地方独立行政法人 神奈川県立病院機構 神奈川県立こども医療センター 遺伝科)
- 柳橋 達彦(慶応義塾大学 医学部 クリニカルリサーチサンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
Rubinstein-Taybi症候群は精神運動発達遅滞・特異顔貌・幅広の母指趾を伴う多発奇形症候群である。CREBBP遺伝子変異により発症するが、発症機序不明で、治療法は未確立である。CREBBPはヒストンアセチル化酵素活性を有し、活性の低下が多系統の障害をきたすことが示唆されている。本疾患の自然歴、特に精神症状の実態把握、新規診断法の開発と薬物治療への基盤整備、生体試料のバンク化を行い、医療の均てん化と患者QOLの向上を目的とした。
研究方法
(1)診断基準の策定・新規遺伝子診断法の確立:遺伝子変異陽性例の症状解析と陰性例のアレイ法、MLPA法を用いた再解析を行った。診断基準について再度、検討した。(2)生体試料の収集とバンク化:既存試料も含め、患者へのICを行った。 (3)神経症状の実態調査:心理・行動面に関するアンケート調査を行い、検討した。(4)診療指針の作成:集積データ、文献から情報を纏め、診療指針を作成した。(5)英文論文発表、学会発表、家族会との交流などを行い、情報提供を行った。
結果と考察
(1)変異陽性例の臨床所見から診断基準の策定を行った。診断基準(案)として、必発症状:発達遅滞。 主要症状:i)幅広の拇指・幅広の母趾、ii)コルメラの延長、iii)濃い眉毛・長い睫毛。発達遅滞を伴い、i),ii),iii)を満たす場合にRTSと診断。また、新規18検体を解析し、変異陽性例は7検体であった。アレイ技術を利用して、診断の感度を向上させた。(2)患者へのICを実施し、生体試料の収集とバンクへの登録を行った。(3)神経症状の実態調査の結果、年齢に併せて臨床的介入が必要である事を明らかにし、学会・論文発表を行った。HDACIが発達障害等の症状の軽減が期待される。(4)健康管理の指針として小冊子・ガイドラインを作成し、疾患の普及に努め、臨床現場への還元を行った。(5)本研究成果を、各学会・論文発表を行った。
結論
本研究を通じた疾患の自然歴・合併症の解明や診療指針の確立、新規遺伝子診断法の確立は、本症の如き、稀少な疾患の医療の均てん化・患者の長期QOL向上に直接寄与する重要な基盤を整備できたと考える。 今後、HP等を通じて、情報提供・啓発活動を行い、社会の福利厚生の還元に努めることが最大の目的であり、この研究事業を推進することを強く望む。
公開日・更新日
公開日
2015-06-10
更新日
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