文献情報
文献番号
201128121A
報告書区分
総括
研究課題名
14番染色体父親性・母親性ダイソミーおよび類縁疾患の診断・治療指針作成
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-難治・一般-161
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
鏡 雅代(独立行政法人国立成育医療研究センター 研究所 分子内分泌研究部)
研究分担者(所属機関)
- 齋藤 伸治(名古屋市立大学大学院医学研究科新生児・小児医学分野)
- 柴崎 淳(神奈川県立こども医療センター 新生児科)
- 左合 治彦(独立行政法人国立成育医療研究センター 周産期診療部)
- 宮崎 治(独立行政法人国立成育医療研究センター 放射線診療部)
- 黒澤健司(神奈川県立こども医療センター 遺伝科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成23年度は、14番染色体父親性ダイソミーおよび類縁疾患の診断基準、治療のてびきを作成することを目的とする。14番染色体母親性ダイソミーおよび類縁疾患は、表現型陽性症例に対し遺伝子診断を行い、確定症例に対し詳細な臨床像を調べるための二次調査を行うことを目的とする。まだ、遺伝学的病因別頻度を明らかとする。
研究方法
われわれが開発した遺伝子診断法により確定診断された14番染色体父親性ダイソミーおよび類縁疾患患者の主治医に対し、質問紙にて詳細な臨床像を調査し、その結果に基づき診断基準および治療の手引きを作成した。同様に14番染色体母親性ダイソミーおよび類縁疾患疑い例に対し遺伝子診断を行い、確定例の主治医に対し二次調査を行った。
結果と考察
作成した14番染色体父親性ダイソミーおよび類縁疾患の診断基準は出生前は超音波検査にて①羊水過多、②胸郭低形成(ベル型・コートハンガー型)、を認める。出生後は主症状として①特徴的な小胸郭(コートハンガー型、ベル型)と呼吸障害、②腹壁の異常(臍帯ヘルニア、腹直筋離開)、③特徴的顔貌(前額部突出、眼瞼裂狭小、平坦な鼻梁、小顎、前向き鼻孔、突出した人中 )を認める。副症状として、発達遅延、摂食障害、翼状頚・短頚、喉頭軟化症、関節拘縮、側弯症、鼠径ヘルニアなどを認める。治療は、胎児期には、適宜羊水吸引術を施行し、可能な限り満期まで妊娠継続を図ること、出生時に重度の呼吸障害を呈するため、新生児科医師立会いで分娩を行う。出生後は、呼吸障害に対する長期の人工呼吸管理を必要とする。発達障害もみとめるが、日常生活は充分に可能であり、人工呼吸管理化での適切なリハビリが重要となる。さらに、ほぼ全例に経口摂取障害を認め、長期の経管栄養を必要とする。3例に肝芽腫発症を認め、腹部エコー、腫瘍マーカーなどによる注意深いフォローアップが必要である。14番染色体母親性ダイソミーおよび類縁疾患は、遺伝子診断で12名が確定診断された。ダイソミー8例、微細欠失3例、エピ変異1例であった。 予想以上に同定できた数が少なく、非特異的な症状のために、未診断例が存在すると予想された。
結論
14番染色体父親性ダイソミー及び類縁疾患の診断基準および治療の手引きを作成した。14番染色体母親性ダイソミーおよび類縁疾患疑い症例に対し遺伝子診断を行い12名患者を診断し、遺伝学的病因別頻度を明らかにした。
公開日・更新日
公開日
2013-03-28
更新日
-