文献情報
文献番号
201128113A
報告書区分
総括
研究課題名
新生児および乳児肝血管腫に対する治療の実態把握ならびに治療ガイドライン作成の研究
課題番号
H22-難治・一般-153
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
黒田 達夫(慶應義塾大学医学部 外科学 (小児外科))
研究分担者(所属機関)
- 野坂 俊介(独立行政法人 国立成育医療研究センター 放射線診断科 )
- 中澤 温子 (中川 温子)(独立行政法人 国立成育医療研究センター 病理診断部 )
- 星野 健(慶應義塾大学医学部 外科学 (小児外科) )
- 塩田 曜子(独立行政法人 国立成育医療研究センター 腫瘍科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
新生児や乳児の肝血管腫の中には、稀少ではあるが、特異な病態から治療抵抗性で致死的経過をとるものがある。本課題はこれら難治性肝血管腫の臨床像、治療実態を把握して新規治療薬剤や新生児塞栓療法、移植など先端的治療手技の有効性を検証するとともに、本症の病理学的背景と病態や臨床像との関連を分析することを目的とする。さらにこれに基づいて出生前診断例の治療戦略の提言を目指した。
研究方法
昨年度に引き続き、日本小児外科学会の認定施設において同定された当該症例のうち、過去5年間に生後12ヵ月未満で診療された19症例につき、臨床像、治療と転帰、血液データ、放射線画像データ、病理画像データなどの解析を継続した。病理標本が検討可能であった6例でGLUT1, CD31, D2-40の発現を免疫組織化学的に検討した。さらに分担研究者の施設において、関連する新生児腫瘍症例などの観察研究を継続し、出生前診断症例に対する治療提言をまとめた。そのほかインターネットを用いた情報発信の方法についても検討した。
結果と考察
当該疾患に関する全国調査集計では、腹部膨満 (47.4%)、心不全(47.4%), 血液凝固障害(42.1%) および呼吸障害 (31.6%) の頻度が高く、3例が血液凝固障害及び心不全により死亡していた。ステロイドは23.1%の症例はステロイドに不応性で、47.4%の症例はステロイド以外の治療を要した。インターフェロン、ビンクリスチンが投与された症例では速やかな血管腫の退縮は見られなかったが、ベータ・ブロッカーの投与された症例では速やかな反応が見られた。死亡例では、治療前および治療後の血小板数の低下、血液凝固異常が顕著であり、これに対する肝動脈結紮術や塞栓術の効果は限定的であった。これらに基づき出生前診断された症例に対する治療の提言がまとめられた。合わせて今年度インターネットによる情報発信サイトも開設された。
結論
新生児・乳幼児の難治性肝血管腫に対する全国調査ならびに観察研究の結果に基づき、出生前診断された症例の治療に関する提言をまとめた。また、本症を含む情報発信webサイト「小児がん相談窓口」を開設した。
公開日・更新日
公開日
2013-03-28
更新日
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