原発性リンパ浮腫全国調査を基礎とした治療指針の作成研究

文献情報

文献番号
201128099A
報告書区分
総括
研究課題名
原発性リンパ浮腫全国調査を基礎とした治療指針の作成研究
課題番号
H22-難治・一般-139
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
笹嶋 唯博(旭川医科大学 医学部 外科学講座 循環・呼吸・腫瘍病態外科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 齊藤 幸裕(旭川医科大学 医学部 外科学講座 循環・呼吸・腫瘍病態外科学分野 )
  • 中西 秀樹 (徳島大学 医学部 形成外科)
  • 橋本 一郎(徳島大学 医学部 形成外科)
  • 重松 宏(国際医療福祉大学)
  • 笹嶋 由美(北海道教育大学 教育学部 健康管理学)
  • 西條 泰明(旭川医科大学 医学部 地域保険疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,833,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原発性リンパ浮腫疫学調査,QOL調査を踏まえ,多角的視点に基づいた診断治療指針を作成する.さらに全研究を通じて明らかとなった原発性リンパ浮腫の診療について問題点を明らかにし,今後の厚生労働行政に役立ててもらうため,政策提言を行う.
研究方法
本研究班員の他に各学会から推薦された研究協力者を加え,総勢12名で原発性リンパ浮腫診断治療指針作成委員会を組織した.研究班会議にて指針の概要を決定し,本疾患の診療を行なっている国内外の医師に各項目ごとに執筆を依頼し回収した.事務局で編集した後,委員会に承認をいただき,各学会理事会での承認を得ることとした.さらに班会議にて政策提言の素案を取りまとめ,各学会の理事会で承認を頂き,共同提言とすることとした.
結果と考察
総勢31名の著者により,11章にわたる原発性リンパ浮腫診断治療指針が執筆された.これによりリンパ管の解剖,生理といった基礎から,リンパ浮腫の定義,病態生理,診断,治療の詳細が記載され,患者QOLに至るまでの原発性リンパ浮腫に係る事項が網羅された内容となった.また以下の2点について政策提言と決定した.1)原発性リンパ浮腫診断治療指針に推奨された医療体系について保険収載し,患者負担の軽減を図ること.2)原発性リンパ浮腫を完治させるため,治療手段の開発を基礎研究から臨床研究に至るまで
結論
原発性リンパ浮腫に関して全国疫学調査,患者QOL調査結果を踏まえ診断治療指針を作成した.本疾患の診療の発展が期待される.

公開日・更新日

公開日
2013-03-04
更新日
-

文献情報

文献番号
201128099B
報告書区分
総合
研究課題名
原発性リンパ浮腫全国調査を基礎とした治療指針の作成研究
課題番号
H22-難治・一般-139
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
笹嶋 唯博(旭川医科大学 医学部 外科学講座 循環・呼吸・腫瘍病態外科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 齊藤 幸裕(旭川医科大学 医学部 外科学講座 循環・呼吸・腫瘍病態外科学分野)
  • 中西 秀樹 (徳島大学 医学部 形成外科)
  • 橋本 一郎(徳島大学 医学部 形成外科)
  • 重松 宏(国際医療福祉大学)
  • 笹嶋 由美(北海道教育大学 健康管理学)
  • 西條 泰明(旭川医科大学 医学部 地域保険疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
原発性リンパ浮腫は四肢に高度の浮腫をきたす慢性進行性難治性疾患である.2009年度難治性疾患克服研究事業で研究班を組織し本研究へ継続した.本研究の目的は,1,原発性リンパ浮腫患者QOL調査.2,診断治療指針作成.3,政策提言の取りまとめ.である.
研究方法
1)全国疫学調査;日本血管外科学会,静脈学会,日本脈管学会,日本リンパ学会,日本形成外科学会より提供された名簿より該当の医師1,760名へ原発性リンパ浮腫患者人数について調査した.さらに患者個別の詳細について,1.患者背景(4項目),2.初診時の所見(8項目),3.診療経過(10項目),4.現在の患者の状態(5項目),計27項目を調査した.
2)患者QOL調査;原発性リンパ浮腫患者にSF36v2QOL評価票および独自作成のQOL調査票を配布した.
3)原発性リンパ浮腫診断治療指針作成;本研究班員の他に各学会から推薦された研究協力者を加え,総勢12名で原発性リンパ浮腫診断治療指針作成委員会を組織した.各学会理事会での承認を得た.
4)政策提言の取りまとめ;班会議にて素案を取りまとめ,各学会の理事会で承認を頂き,共同提言とした.
結果と考察
1,患者QOL調査;原発性リンパ浮腫の患者QOLについてSF-36と独自調査を行い,現在の状況が明らかとなった.また患者側の原発性リンパ浮腫診療に対する意見も抽出された.2,診断治療指針;総勢31名の著者により,11章にわたる指針が執筆された.原発性リンパ浮腫に係る事項が網羅された内容となった.さらに各項目ごとに推奨と懸案事項が明記され,本邦における原発性リンパ浮腫の診断治療の標準化に寄与することが期待される.3,政策提言;以下の2点について政策提言とする.1)指針に推奨された医療体系について保険収載し,患者負担の軽減を図ること.2)治療手段の開発を基礎研究から臨床研究に至るまで国として支援し,強力に推し進めること.
結論
本疾患の診療の発展が期待される.

公開日・更新日

公開日
2013-03-04
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201128099C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究班はH21年度事業より引き続き行われた.前研究で本邦における原発性リンパ浮腫患者の疫学的動向を明らかにしたが,本研究では患者に対し個別にQOL調査を施行した. SF-36による標準的調査に加え独自調査表によるアンケートを行い,原発性リンパ浮腫患者のQOLおよび患者側の診療に対する要望も抽出された.この結果を踏まえ総勢31名の著者により,11章にわたる原発性リンパ浮腫診断治療指針が執筆された.各章ごとに推奨,懸案事項が明記され今後の研究活動の指針となると考える.
臨床的観点からの成果
現在原発性リンパ浮腫診療は明確な指針が存在せず,各診療者に任されている状態である.今回作成された指針により原発性リンパ浮腫の診断治療の標準化が行われ,全国で均一かつ質の高い医療が提供されることが期待される.また不要と思われる治療法も明記されていることから,医療費の削減に寄与するとともに,必要な医療も明記されており保健医療行政においても明確な方向性を示しうると考える.さらにリンパ浮腫診療者に対する認定資格制度の決定に方向性を与え,更なる診療の質の向上に寄与することが期待される.
ガイドライン等の開発
疫学調査ならびにQOL調査の結果を踏まえ原発性リンパ浮腫診断治療指針が作成された.本指針では今後の研究結果から将来改訂されることを念頭に置いて,まずは本邦の嚆矢とする位置付で発刊する.リンパ浮腫診療で実績のある国内外31名の専門家に執筆いただいた.エビデンスレベルおよび推奨クラス分類は本邦における脈管疾患に関する指針として整合性を保持するため,これらに準じた基準を採用した.本指針の発刊に際し,日本脈管学会,日本形成外科学会,日本リンパ学会,日本静脈学会,日本血管外科学会の承認と推薦を得ている.
その他行政的観点からの成果
これまでの全ての研究活動を通し,原発性リンパ浮腫診療に関わる問題点が明らかとなった.これを踏まえて以下の2点について政策提言とする予定でいる.1)原発性リンパ浮腫診断治療指針に推奨された医療体系について保険収載し,患者負担の軽減を図ること.2)原発性リンパ浮腫を完治させるため,治療手段の開発を基礎研究から臨床研究に至るまで国として支援し,強力に推し進めること.これらについて各協力学会に提案し理事会で承認を得ている.今後学会と共同で提言する.
その他のインパクト
原発性リンパ浮腫疫学調査や患者QOL調査は世界的にもこれだけの規模で実施した例はなく極めて貴重な資料となった.この結果は患者会,研究会などで報告を続けており,医療者だけではなく患者および家族にも周知している.さらに指針は日本脈管学会の機関誌別冊として会員に無償配布する予定であり,本邦で広く普及することが期待される.また原発性リンパ浮腫はそのエビデンスの少なさから臨床研究をデザインすることさえ困難であったが,本指針を基に多くの研究がなされ新たなエビデンスのもとに改訂されていくことを望んでいる.

発表件数

原著論文(和文)
1件
原発性リンパ浮腫診断治療指針を日本脈管学会機関誌別冊として発刊することは決定しているが発刊日は調節中.
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128099Z