文献情報
文献番号
201128087A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝性脳小血管病の病態機序の解明と治療法の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-難治・一般-127
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小野寺 理(新潟大学 脳研究所)
研究分担者(所属機関)
- 西澤 正豊(新潟大学 脳研究所)
- 水野 敏樹(京都府立医科大学 神経内科学)
- 冨本 秀和(三重大学大学院 医学系研究科 神経病態内科学)
- 伊東 史子(東京薬科大学 心血管医科学研究室 実験病理・病理学)
- 丹羽 正美(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 神経薬理学分野)
- 佐藤 俊哉(新潟大学 脳研究所)
- 平野 照之(熊本大学大学院 生命科学研究部 神経内科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
脳は血液脳関門という特殊な構造を持つ.この構造は脳小血管を中心とするneurovascular unitにより構成されている.この脳小血管に首座をもつ病態がleukoaraiosis: LAである.LAは,認知症,脳梗塞,出血性脳梗塞の発症に密接に関わっているが,病態機序は不明であり,診断基準,有効な治療方法も確立されていない.希に,家族性にLAを起こす遺伝性脳小血管病が報告されている.遺伝性脳小血管病には,常染色体性優生遺伝形式をとるCerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy (CADASIL) や,劣性遺伝形式をとる Cerebral autosomal recessive arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy (CARASIL) 等が知られている.しかし,その疾患頻度,病像は未だ不明である.本研究班では遺伝性脳小血管病の実態を明らかにし,治療方法の確立を目的とした.
研究方法
遺伝性脳小血管病患者の実態調査と生体資料収集を行い遺伝子検査による確定診断を行ったCARASILではセリンプロテアーゼの異常により結果としてTGF-βファミリーシグナルの亢進を引き起こす.本研究班では,これらのシグナル伝達の関与をモデルマウスで検討した.また伊東らの開発した,血管内皮特異的にTGF-βファミリーシグナルを抑制した遺伝子改変マウスを用いる.これらの脳小血管病モデルマウスにて脳小血管病を引き起こす遺伝子の機能,およびその遺伝子の下流のシグナル伝達を検討した.さらに,脳小血管病の異常を,二光子励起レーザー顕微鏡にて検討を加えた.丹羽らの開発した血液脳関門を再現したBBBキットを用いい,CADASIL,CARASILの下流のシグナル伝達について検討した.
結果と考察
新規CARASIL,CADASIL家系をそれぞれ同定した.また,本邦の実態に即した診断基準を作製しその妥当性を示した.また本症の組織学的診断法として,光学顕微鏡でのbasophilic submicron granule (BSG) の存在を明らかとした.病態解明では,培養細胞モデル,動物モデルを用い,TGF-βシグナルが,血液脳関門の機能維持に重要であること,さらに微小循環動態を明らかとした.
結論
臨床面では診断基準の設定,基礎面からはそのメカニズムの解明に寄与した
公開日・更新日
公開日
2015-06-09
更新日
-