文献情報
文献番号
201128077A
報告書区分
総括
研究課題名
ジストニア脳アトラスによる淡蒼球内節機能異常の検索と新規ターゲッティング法の確立
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-難治・一般-116
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
宮城 靖(九州大学 医学研究院 心臓血管病態制御学講座)
研究分担者(所属機関)
- 福田 孝一(熊本大学 神経形態学)
- 平 孝臣(東京女子医科大学 脳神経外科学)
- 山田 和慶(熊本大学 脳神経外科学)
- 深谷 親(日本大学 脳神経外科学)
- 横地 房子(東京都立神経病院 神経内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
8,540,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
全身性ジストニアは難治性の大脳基底核疾患で、局所や全身の筋緊張異常や不随意運動を呈する。有効な治療薬はなく定位的淡蒼球内節手術が唯一の有効な治療法であるが、その成績は著効から無効まで多様性に富む。本研究では、我々が開発中の日本人専用定位脳手術アトラスを用いて、ジストニア患者の大脳基底核、特に淡蒼球内節(GPi)の高精度医用画像と定位脳手術で得られた電気生理学データを解析し、手術成績を左右する脳内構造の個体差・疾患特異性を明らかにし有効なGPiのターゲッティング法の確立を目的とする。
研究方法
23年度は協力施設を3施設追加し,DBS本体植込み前のリードを含むMRIを各研究分担者施設内で解析した上で結果を収集することにより刺激部位情報と術後成績の関係を、最終的に56症例(両側51,片側5)の合計107側分収集し、統合・解析することができた。ジストニアにおける至適DBS刺激条件、刺激効果の発現様式、 刺激効果発現期間および症状特異性、複数電極留置法による手術成績、小児ジストニア症例に対する効果発現の特異性および長期成績など、細部を分担して研究を進めた。
結果と考察
有効刺激部位は冠状断では副内髄板あるいはその外側へばらつく分布を示した。また交連間線に平行な水平断で前内側へ約45度の角度で存在する淡蒼球に対し、有効刺激部位は後外側4分の1を中心に分布していた。ジストニア症状の改善度と淡蒼球内節内の刺激部位に明らかな関連性は認められなかった。サブスタンスPおよび内節ニューロンの多数を構成するカルシウム結合蛋白parvalbumin含有型GABAニューロンの免疫組織化学染色がヒト淡蒼球で成功し、これによりヒト淡蒼球で亜核の細分画化が可能となった。
結論
ジストニア症状の改善度は淡蒼球内節内の刺激部位のみで決まるものではなく、罹病期間、罹患部位、手術時年齢など様々な因子が関与する。ヒト淡蒼球内節内の更なる機能分画を解析する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2013-03-27
更新日
-