小児好酸球性食道炎の患者全体像の把握と診断・治療指針の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201128031A
報告書区分
総括
研究課題名
小児好酸球性食道炎の患者全体像の把握と診断・治療指針の確立に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-070
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山田 佳之(群馬県立小児医療センター アレルギー感染免疫科)
研究分担者(所属機関)
  • 田口 智章(九州大学大学院医学研究院 小児外科)
  • 池田 均(獨協医科大学医学部 小児外科)
  • 小室 広昭(東京大学医学部 小児外科)
  • 黒岩 実(東邦大学医学部 小児外科)
  • 林 泰秀(群馬県立小児医療センター 血液腫瘍科)
  • 平戸 純子(群馬大学医学部附属病院 病理部)
  • 野村 伊知郎(国立成育医療研究センター アレルギー科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
9,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
好酸球性消化管疾患(EGID)である好酸球性食道炎 (EoE)は欧米では頻度の高い疾患である。しかしながら本邦小児でのEoEの報告はごくわずかであった。このことから本邦の小児EoE診療の実態調査、また同時に学会等での啓蒙、さらに関連分子の欧米との比較検討を行い、本邦での小児EoE診療の指針を示すために本研究を行った。
研究方法
本年度は小児食道生検の好酸球浸潤に関する後方視的調査(日本小児栄養消化器肝臓学会にて)、先天性食道閉鎖症・狭窄症に関連した食道好酸球増多の検討、小児EGIDに関する臨床的検討、好酸球増多症候群(HES)に伴う2次性EGIDの検索、小児EGIDでの関連分子の検討、小児胃食道逆流と新生児、乳児食物蛋白誘発胃腸炎(N-FPIES)におけるEoEに関する検討、食道好酸球増多患者での免疫染色の検討、消化管粘膜組織中遺伝子発現の網羅的解析を行った。
結果と考察
本年度の検討では2005年以降に8例の食道好酸球陽性症例が存在した。4例が食道好酸球増多であり、全体の2例で欧米での一次性EoEの可能性が考えられた。さらに2011年は生検数、食道好酸球陽性患者数ともに増加がみられた。また調査と別に、2例の小児好酸球性食道炎診断例が報告された。また先天性食道閉鎖・狭窄症に関連した症例は合計5例となった。HES疑い例ではFIP1L1-PDGFRA融合遺伝子の検索を行ったが陰性であった。EoE以外のEGIDについての問い合わせも多数あった。血清分子ではIL-6、VEGF、IL-9, IL-13がEGID群で高値であった。胃食道逆流症やN-FPIESとして集積された症例に食道好酸球増多症例が存在していた。またeotaxin-3とmast cell tryptaseの発現が免疫染色で同定できた。さらに木下班(成人のEGID研究班)、野村班(N-FPIES研究班)と共同でEGID全体として遺伝子の網羅的解析を行っている。
結論
今年度の研究では、一次性EoEを含めた数例の食道好酸球増多患者が確認できた。さらに2011年に患者数が増加しており、認知度の改善や、実際の患者数の増加が考えられた。欧米と違い基礎疾患を有する二次性の食道好酸球増多症例が多いのが特徴的であった。本研究と米国の新ガイドラインを中心に診療の要点を示し、今後、さらにEoEに関する啓蒙も行っていくことが、重要であると考えている。

公開日・更新日

公開日
2013-03-28
更新日
-

文献情報

文献番号
201128031B
報告書区分
総合
研究課題名
小児好酸球性食道炎の患者全体像の把握と診断・治療指針の確立に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-070
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
山田 佳之(群馬県立小児医療センター アレルギー感染免疫科)
研究分担者(所属機関)
  • 田口 智章(九州大学大学院医学研究院 小児外科)
  • 池田 均(獨協医科大学医学部 小児外科)
  • 小室 広昭(東京大学医学部 小児外科)
  • 滝 智彦(京都府立医科大学医学研究科 分子診断・治療医学)
  • 黒岩 実(東邦大学医学部 小児外科)
  • 林 泰秀(群馬県立小児医療センター 血液腫瘍科)
  • 平戸 純子(群馬大学医学部附属病院 病理部)
  • 野村 伊知郎(国立成育医療研究センター アレルギー科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
好酸球性消化管疾患(EGID)である好酸球性食道炎 (EoE)は欧米では頻度の高い疾患である。しかしながら本邦小児での報告はごくわずかであった。このことから本邦での小児EoE診療の実態調査、啓蒙活動を行い、さらに関連分子の欧米との比較を検討し、本邦での小児EoE診療の指針を示すために本研究を行った。
研究方法
疾患認知度調査、小児食道生検の好酸球浸潤に関する調査、先天性食道閉鎖症・狭窄症、他の小児EGID、好酸球増多症候群(HES)に関連した検討、関連分子の検討、小児胃食道逆流と新生児、乳児食物蛋白誘発胃腸炎(N-FPIES)におけるEoEに関する検討、食道好酸球増多患者での免疫染色の検討、消化管粘膜組織中遺伝子発現の網羅的解析を行った。
結果と考察
小児科医の間での本疾患の認知度は低いと考えられた。また食道好酸球増多症例は2005年以降で合計17例が確認できた。男児が多く、多くの患児が基礎疾患を有していた。全体の5例で一次性EoEの可能性が考えられた。さらに2011年に患者数が増加していた。また先天性食道閉鎖症・狭窄症に関連した症例、胃食道逆流症やN-FPIESとして集積された症例に食道好酸球増多症例が存在していた。さらにHES疑い症例、EoE以外のEGIDについての問い合わせも寄せられた。血清分子ではEGIDにおいてeotaxin-3とTSLPはむしろ低値の傾向、Tryptaseは高値の傾向にあり、IL-6、VEGF、IL-9, IL-13がEGID群で高値であった。またeotaxin-3とmast cell tryptaseの発現が免疫染色で同定できた。さらに木下班(成人のEGID研究班)、野村班(N-FPIES研究班)と共同でEGID全体として遺伝子の網羅的解析を行っている。
結論
本研究から小児EoEは本邦小児科医の間で認知の低い疾患である可能性、また実際に症例数が少ない可能性が考えられた。加えて基礎疾患を有する二次性の食道好酸球増多症例が多数存在した。また認知度が改善し、実際の患者数の増加傾向も見られている。本研究と米国の新ガイドラインを中心に診療の要点を示し、今後、さらにEoEに関する啓蒙も行っていくことが、重要であると考えている。

公開日・更新日

公開日
2013-03-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201128031C

収支報告書

文献番号
201128031Z