文献情報
文献番号
201128030A
報告書区分
総括
研究課題名
原因不明小腸潰瘍症の実態把握、疾患概念、疫学、治療体系の確立に関する研究
課題番号
H22-難治・一般-069
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
日比 紀文(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院消化器科)
- 藤山 佳秀(滋賀医科大学医学部)
- 渡辺 守(東京医科歯科大学医学部)
- 山本 博徳(自治医科大学医学部)
- 岡崎 和一(関西医科大学医学部)
- 松本 主之(九州大学医学部)
- 清水 誠治(西日本旅客鉄道株式会社大阪鉄道病院医務部)
- 田中 正則(弘前市立病院臨床検査科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
単純性潰瘍、非特異性多発性小腸潰瘍症は、辛うじて疾患概念が提唱されているものの、臨床疫学、原因・病態、診断法、治療指針などはまったく確立されていない。この2疾患以外にも血管炎に伴う小腸潰瘍や希少な原因不明の小腸潰瘍症が存在することが明らかとなってきた。これらの難治性小腸炎症性疾患に対して、疫学的、臨床像、病態学的な解析を進め、さらに診断・治療法の整備・確立を目的とした。
研究方法
平成21年度に実施した原因不明の小腸潰瘍症に対する疫学調査、実態調査を詳細な解析を行った。過去の報告例の検討、実態調査の解析、集積した画像検査の形態学的検討、文献的検討により、単純性潰瘍および非特異性多発性小腸潰瘍症に対する診断基準の確立、コンセンサスステートメント作成を行った。さらに単純性潰瘍/腸管ベーチェット病に対するインフリキシマブの有効性を検討した。
結果と考察
重点施設実態調査の結果を詳細に解析し、完全型ベーチェット病には腸管病変が少ないこと、潰瘍の形態では定型的潰瘍を有するものが約2/3をしめた。また、回盲部の病変は定型病変を有するものに有意に多かった。また手術に寄与する因子として、回腸病変の存在、単純性潰瘍、ステロイド/インフリキシマブの使用があげられた。これらの臨床的特徴、病変の特徴を考慮して、さらに過去の報告例の検討、今回実施した実態調査の解析、集積した内視鏡/X線造影の形態学的検討、分担研究者・研究協力者とのコンセンサス形成により、腸管ベーチェット/単純性潰瘍および非特異性多発性小腸潰瘍症に対する疾患概念と診断基準(案)を作成した。腸管ベーチェット/単純性潰瘍に対するインフリキシマブの有効性を検討したところ、狭義の単純性潰瘍では有効性が低かった。
結論
炎症性腸疾患の専門施設を中心として実施した重点施設実態調査の解析で、計42施設で単純性潰瘍338例、非特異性多発性小腸潰瘍症59例、それ以外の原因不明小腸潰瘍症89例と相当数の症例が存在することが明らかとなった。単純性潰瘍/腸管ベーチェット病について多角的に解析し、その臨床像や病変の特徴を明らかにすることができ、臨床像、病変の特徴は両者で相違がないことが明らかとなった。治療法に関しては、難治性の単純性潰瘍/腸管ベーチェット病に対してインフリキシマブが有効であることが示された。
公開日・更新日
公開日
2013-03-12
更新日
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