脊髄性筋萎縮症の臨床実態の分析、遺伝子解析、治療法開発の研究

文献情報

文献番号
201128021A
報告書区分
総括
研究課題名
脊髄性筋萎縮症の臨床実態の分析、遺伝子解析、治療法開発の研究
課題番号
H22-難治・一般-012
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 加代子(東京女子医科大学 附属遺伝子医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 中野 今治(自治医科大学 内科学講座 神経内科学部門)
  • 小牧 宏文(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科)
  • 齊藤 利雄(独立行政法人 国立病院機構刀根山病院 神経内科・小児神経科)
  • 西尾 久英(神戸大学大学院 医学研究科 地域社会医学・健康科学講座 疫学分野)
  • 中島 孝(独立行政法人 国立病院機構新潟病院 神経内科)
  • 野本 明男(公益財団法人 微生物化学研究会 微生物化学研究所)
  • 菅野 仁(東京女子医科大学 附属遺伝子医療センター)
  • 山本 俊至(東京女子医科大学 統合医科学研究所)
  • 近藤 恵里(飯田 恵里)(東京女子医科大学 附属遺伝子医療センター)
  • 伊藤 万由里(東京女子医科大学 附属遺伝子医療センター)
  • 松尾 真理(東京女子医科大学 附属遺伝子医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
19,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脊髄性筋萎縮症(SMA)は脊髄前角細胞の変性による筋萎縮と進行性筋力低下が特徴の下位運動ニューロン病である。発症年齢順にI型、II型、III型、成人発症はIV型に分類される。本研究では、臨床実態、病態を明らかにして治療法の開発の基盤を確立する。
研究方法
(1)遺伝子変異未検出群の全ゲノム解析とリシーケンス
(2)生体試料収集とiPS細胞の樹立
(3)患者由来細胞におけるSMNコピー数の変化の定量化
(4)疾患発生機序に根ざした新規治療候補薬剤のスクリーニング
(5)SMN1遺伝子導入ポリオウイルスベクターを作製
(6)根本治療法の確立:芽球化リンパ球に薬物を投与し、SMNコピー数、遺伝子発現を増加させる薬物を探索
(7)「脊髄性筋萎縮症診療マニュアル」作成
結果と考察
本研究班2年目において、SMA-I,II,III,IV型の臨床実態の分析を進め、NCS特にSCV、SNAPがI型で低下していること、心電図の経年的な変化が明らかになった。また、MLPA法により、SMN2遺伝子のコピー数の測定に有用であった。これらの指標は、SMAの治療研究において、効果判定の指標となる。SMA-IV型の臨床実態分析より、複数の原因遺伝子の存在が考えられた。
iPS細胞が樹立されたが、その臨床への応用には改良が必要である。HALはリハビリ的な効果が予測された。脊髄前角細胞にSMN1遺伝子を運ぶためには、ポリオウイルスベクターが理論的には望ましい。実用への改良を続けている。
結論
(1)臨床病態の分析
SMA I型の神経伝導検査(NCS)は有効である。SMAでは心電図の経年変化が見られる。運動ニューロン疾患302例中、SMA-IVは11例で、遺伝学的、症候学的に異質な疾患群を包括していた。
(2)診断法の精度向上:SMN2遺伝子のコピー数が多いほど軽症な傾向
(3)遺伝子解析研究:次世代シーケンサーによる全エクソーム解析にてSMAの新規原因遺伝子の探索を開始し候補遺伝子を同定した。
(4)iPS細胞の作製:SMA-I型から樹立に成功
(5)最終年度は、SMAの根本治療法の開発を目指して、臨床効果の評価基準を作成する。患者由来培養細胞にてSMN2遺伝子の発現を増加させる薬物検索を行う。さらに、臨床治験をパイロットスタディーとして計画する。

公開日・更新日

公開日
2013-03-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201128021Z