改正法後の脳死下臓器提供におけるコーディネートに関する研究

文献情報

文献番号
201126037A
報告書区分
総括
研究課題名
改正法後の脳死下臓器提供におけるコーディネートに関する研究
課題番号
H23-免疫・一般-015
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小中 節子(社団法人日本臓器移植ネットワーク)
研究分担者(所属機関)
  • 横田 裕行(日本医科大学大学院 救急医学)
  • 岡田 眞人(聖隷三方原病院 救命救急センター 小児科)
  • 山之内 芳雄(藤田保健衛生大学 医学部 精神医学)
  • 朝居 朋子(社団法人日本臓器移植ネットワーク)
  • 芦刈 淳太郎(社団法人日本臓器移植ネットワーク)
  • 岩田 誠司(財団法人福岡県メディカルセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
7,044,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、救急医療における終末期におけるケアの現状とCoのドナー家族支援状況を把握・評価し、今後の救急医療における家族支援、グリーフケアのシステム構築アプローチ、移植コーディネーターの家族支援モデルを作成し、Coによる家族支援の向上を図る。又、Coの業務調査結果を基に、効率的なコーディネート体制の構築、及び有効な教育及び体制についても検討構築する。
研究方法
①小児終末期医療における家族対応実態調査、実際の脳死下臓器提供事例におけるグリーフケア調査、救急医療施設における脳死患者家族の心理過程の把握と医療・看護職の家族対応調査。②家族支援を行ったCo調査、改正法前後の脳死下臓器提供事例におけるドナー背景因子の調査。③ 韓国と国内のあっせん機関の訪問調査、わが国の確立すべきCo業務とそのマニュアルの検討。都道府県Coの有効な研修企画実施・評価。
結果と考察
小児終末期における患者家族支援を行なっているのは未だ少数であることが示唆され、特に救急医療においての家族ケアの早期確立が必要と思われた。提供施設の医師・看護師は自らの死生観をもち患者の尊厳を守る姿勢が家族の実存的苦悩に対応していた。今後は家族の急性ストレス反応、及び患者家族の脳死理解に対する知識とアセスメント、医療スタッフの情報と体験の共有が必要と考えられた。一方、家族は忙しい医療スタッフ、臓器提供に動いている医療側のスタッフには気持ちを表出しにくい事が推察され、医療から中立性を確保し、ゆっくり寄り添うことが必要で試行した。
法律改正後の平均提供件数は0.55/月から4.15/月に増加し、家族承諾による臓器提供、主治医等の選択肢提示による臓器提供の比率が増加した。わが国ではキャリアに応じた新規採用Coの育成と専門家としてのCo育成が重要であり、4Co専門業務マニュアルを検討した。臓器提供病院内で行った“仮想ドナー発生情報”を基に実践さながらの都道府県Co研修は有効であった。
結論
小児終末期の家族に沿った家族ケアの早期確立、臓器提供における選択肢の提示を受ける家族の心情、ケアを行う医療スタッフの知識・対応方法の明確にする等、臓器提供病院におけるグリーフケア体制の構築が重要である。改正法後の臓器提供時のコーディネーションを担うには、新規採用Coのキャリアに応じた育成、わが国の確立されたCo業務を習得したスペシャリストの比率を高めることが重要である。

公開日・更新日

公開日
2012-06-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201126037Z