卵膜由来間葉系幹細胞を用いた難治性疾患に対する新規移植再生療法の開発

文献情報

文献番号
201126033A
報告書区分
総括
研究課題名
卵膜由来間葉系幹細胞を用いた難治性疾患に対する新規移植再生療法の開発
課題番号
H23-免疫・一般-011
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
池田 智明(国立循環器病研究センター 周産期・婦人科部、再生医療部)
研究分担者(所属機関)
  • 高原 史郎(大阪大学大学院医学系研究科先端移植基盤医療学)
  • 丸井 晃(京都大学医学部附属病院・探索医療センター)
  • 大西 俊介(北海道大学大学院医学研究科・消化器内科学分野)
  • 山原 研一(国立循環器病研究センター研究所・再生医療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
12,573,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新たな細胞移植ソースである卵膜由来間葉系幹細胞(MSC)に着目し、1)卵膜MSCの免疫調節作用に関し、主にT細胞に対する影響を中心に、細胞レベルでの検証を行う、2)免疫調節作用を利用した卵膜MSC移植に関し、その治療効果、他家移植による免疫応答反応、安全性評価を、心筋梗塞、心筋炎、肺高血圧症、腎炎、心・腎虚血再灌流、人工心肺、GVHD、好酸球性食道炎、放射線性消化器粘膜障害などの各種難治性疾患モデルにおいて総合的な観点から詳細な検討を行い、各種難治性疾患に対する新規細胞移植療法開発を目指した前臨床応用研究を進めた。
研究方法
各分担研究者の専門分野である循環器科、腎臓科、心臓血管外科、消化器科における各種難治性疾患モデルを確立し、卵膜MSC移植による治療効果を免疫調節・炎症抑制の観点から検証を行った。また、卵膜MSCによる免疫調節効果を、従来検討されてきた骨髄MSCとの比較において、T細胞分化の観点から解析を行った。
結果と考察
心筋炎、腎虚血再灌流、炎症性腸疾患モデルにおいて、卵膜MSC移植は免疫・炎症制御により治療効果を発揮した。卵膜MSCの臨床応用を想定し、他家移植にこだわって検討を行ったが、既報の骨髄MSCを用いた検討同様、自家・他家を問わずMSCは免疫・炎症抑制に働くことが証明された。また、Th1およびTh17分化誘導系において、卵膜MSCが骨髄MSC以上にTh1およびTh17の増殖および分化を抑制した。今後、他家移植でも免疫・炎症抑制に働くメカニズムを特に液性・接着因子を中心に検証していく。これらの研究を更に推進し、本研究班の目標である卵膜MSC移植の臨床応用を目指した研究を加速させていきたい。
結論
卵膜MSC移植による各種難治性疾患に対する新たな治療法確立を目指し、モデル動物の確立と、作成したモデル動物に対する卵膜MSC移植による病態改善効果検証を行った。結果、卵膜MSCの各種難治性疾患に対する治療効果を、免疫・炎症制御の観点から明らかにし、細胞治療応用の可能性を証明した。

公開日・更新日

公開日
2012-06-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201126033Z