免疫療法による花粉症予防と免疫療法のガイドライン作成に向けた研究

文献情報

文献番号
201126028A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫療法による花粉症予防と免疫療法のガイドライン作成に向けた研究
課題番号
H23-免疫・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
岡本 美孝(千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 櫻井 大樹(千葉大学 大学院医学研究院)
  • 下条 直樹(千葉大学 大学院医学研究院)
  • 岡野 光博(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 藤枝 重治(福井大学 医学部)
  • 竹内 万彦(三重大学 大学院医学系研究科)
  • 大久保 公裕(日本医科大学 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
スギ花粉症発症を抑制する2次介入として、スギ抗原エキスを用いた舌下免疫ワクチン、乳酸菌口内崩壊錠、さらにNKT細胞の活性リガンド糖脂質の口腔内投与の有用性を明らかにする。また、免疫治療の普及に向けて、花粉症治療の実態調査を行い、ガイドラインの作成を目指す。
研究方法
1、スギ花粉感作陽性でかつ未発症者を対象に、スギ花粉エキスを用いた舌下免疫療法の発症予防についての介入試験を、プラセボエキス(溶剤)を対照として2重盲検試験により実施
2、スギ花粉症発症に関する免疫学的パラメーターを患者、ならびに未発症者を対象に末梢血あるいは鼻粘膜擦過検体を用いて検討
3、研究班にて作成したアレルギー性鼻炎治療に関して内容、費用、効果などから問題点を問うアンケート用紙を用いて、健診参加者中心に検討
結果と考察
(1)舌下免疫療法の介入によるスギ花粉症発症予防の有効性を明らかにするために、約200名が参加した2重盲検試験を開始した
(2)スギ花粉症の発症にかかわるパラメーターについての前向き研究から、スギ花粉飛散前のsIgE/tIgEは発症予測因子に、花粉曝露による特異的Th2細胞のクローンサイズの増加は発症のバイオマーカーとなる可能性が示唆された。
(3)鼻粘膜擦過のマイクロアレイを用いた遺伝子解析から、Intelectin 1は発症に重要な因子として、Gene Xは感作から発症に至る段階で需要であると考えられた。
(4)感作マウスの検討から、NKT細胞のリガンドでパルスした樹状細胞の口腔粘膜下投与は、抗アレルギー作用を有効に発現させることが認められた.
(6)検診参加者のうち成人アレルギー性鼻炎患者212名、中学生患者969名の結果では、治療に対する満足度は、通年性・花粉症とも非常に低く、理由は効果不十分が約半数と最も多く、その他眠気などの副作用、通院の不便さ、費用などであった。今後病院治療に期待する割合は、抗原特異的免疫療法は20%程度であった.
結論
舌下免疫療法によるスギ花粉症発症に対する2次介入試験が開始された。スギ花粉飛散前のsIgE/tIgEは発症予測因子に、花粉曝露による特異的Th2細胞のクローンサイズの増加は発症のバイオマーカーとなる可能性が示唆された。また、Intelectin 1とGene Xがスギ花粉症の感作・発症における重要な因子であることが推測された。

公開日・更新日

公開日
2012-06-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201126028Z