RSウイルス気道感染予防によるアトピー型気管支喘息の発症抑制効果に関する研究

文献情報

文献番号
201126027A
報告書区分
総括
研究課題名
RSウイルス気道感染予防によるアトピー型気管支喘息の発症抑制効果に関する研究
課題番号
H23-免疫・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
望月 博之(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 吉原 重美(獨協医科大学 医学部)
  • 岡田 賢司(国立病院機構 福岡病院 )
  • 楠田 聡(東京女子医科大学 母子総合医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
これまでに、乳幼児期のRSウイルスによる下気道感染がその後の喘息発症に関与するという報告やRSウイルスの感染後、アレルギー疾患が発症しやすくなるという報告が多数みられる。近年、抗RSV-F蛋白モノクロナール抗体あるパリビズマブ投与群では反復性喘鳴の発症低下がみられたことから、改めてRSウイルスと喘息発症の因果関連が推測されている。我が国でも、2008年7月から「早産児におけるRSウイルス感染による反復性喘鳴発症抑制効果の検討」が実施され、早産児のパリビズマブ投与群と非投与群の満3歳までの反復性喘鳴の発症率等を比較し、パリビズマブがその後の反復性喘鳴の発症を抑制するという仮説を検証している。しかしながら、満3歳では喘息の診断は困難であり、さらに長期間にわたって同一対象児を継続調査すれば、RSウイルス感染とアトピー型喘息の発症との関連の確実な検証ができることから、今回の研究が計画された。
研究方法
先行調査研究に参加中の児で保護者により文書での同意が得られた児を対象として、今回の新規の研究に組み入れる。平成25年度まで、患児が満3歳から満6歳を迎えるまで調査することとした。主要評価項目は、登録時から満6歳の期間におけるアトピー型喘息の発症の有無、副次的評価項目として、反復性喘鳴発症までの経過日数(医師判断)、同(保護者判断)等である。
結果と考察
平成23年度の調査研究参加例は、投与群 264例、非投与群83例の全 347例である。2012年3月31日時点の累計として、カード返信は326名 合計3720回であり、これまでに反復性喘鳴発症(3回の喘鳴診断あり)は投与児 29名(全体の12%)、非投与児 22名(全体の28%)であった。最終の月次報告(2012年3月31日)として、①投与児:喘鳴あり (125件、35.8%)、喘鳴なし(122件、35.0%)、報告なし(102件、29.2%)、②非投与児:喘鳴あり (38件、40.0%)、喘鳴なし(41件、43.2%)、報告なし(16件、16.8%)であった。アトピー性喘息、アトピーの発症・発現については、今後の経過から評価する予定である。
結論
本検討から、乳幼児のRSウイルス感染によるアトピー型喘息発症についてのエビデンスが得られれば、喘息発症の素因のある乳幼児に対するRSウイルス感染の積極的な感染予防によるアトピー型喘息の発症回避、その後のアレルギー疾患の発症の回避、乳児期にRSウイルスによる気道感染を罹患した小児の予後予測等に活用できるため、今後も検討を進めていく。

公開日・更新日

公開日
2012-06-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201126027Z