NSAIDs過敏気道疾患の病因、発症機序解明とガイドライン作成に関する研究

文献情報

文献番号
201126026A
報告書区分
総括
研究課題名
NSAIDs過敏気道疾患の病因、発症機序解明とガイドライン作成に関する研究
課題番号
H23-免疫・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 正実(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 成宮 周(京都大学医学研究科・神経・細胞薬理学)
  • 相原 道子(横浜市立大学附属病院・皮膚科学)
  • 磯谷 澄都(藤田保健衛生大学医学部 医学部・呼吸器内科学I)
  • 長瀬 隆英(東京大学医学部附属病院)
  • 春名 眞一(獨協医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科)
  • 藤枝 重治(福井大学医学部感覚運動医学講座・耳鼻咽喉科頭頸部外科学)
  • 玉利 真由美(理化学研究所 ゲノム医科学研究センター呼吸器疾患研究チーム)
  • 岡野 光博(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
NSAID過敏喘息(アスピリン喘息、AIA)は成人喘息の最も強い難治化因子であり、その約10%を占めるが、不明な点が多い。AIAの病因、病態を解明する。また新規診断方法や治療方法を開発する。さらに患者向けや医療関係者向け、専門医むけ診断・治療指針の手引きを作成し広く公表する。
研究方法
①NSAIDs不耐症の難治化機序解明
②類似モデル病態解析
③遺伝子多型検索
④炎症担当細胞とメディエーターの解析
⑤鼻茸病態からの検討
⑥NSAIDs皮疹病態
⑦手引き作成とその公表
結果と考察
①AIAは最も強い日本人の喘息難治化因子であると初めて証明(CEA 2012)。その難治化に好酸球性炎症とU-LTE4が関与(谷口)。
②-1:類似細胞モデルの病態解析(成宮)PGE2がEP2とEP4の2つの受容体に働き、Th1、2反応を調整。②-2:CysLT2KOマウスを用いた病態解析(長瀬)。
③AIA患者の遺伝子解析(玉利)Alternariaにより誘導される遺伝子群を同定し、EDN1の遺伝子多型がAIAに関連する可能性が示唆。
④-1唾液においてもCysLTs高値が証明し、従来不明であったLTB4も産生亢進(AI 2011)。尿中のLXs代謝産物の産生抑制が初めて確認され、U-LTE4/LXs比は、AIA診断に有用である可能性。(CEA 2012)④-2:難治例で持続的なマスト細胞活性化が初めて証明された。AIA誘発時にマスト細胞の活性化が再確認(JACI 2011)。
⑤-1:鼻茸のプロテオーム解析(藤枝)ProteinXの同定。⑤-2:鼻茸培養細胞(DNPC)を用いたNSAIDs過敏ex vivoモデルの解析(岡野)DNPCは潜在的なNSAIDs過敏の可能性。⑤-3:鼻茸組織におけるIgE抗体(春名)組織IgE陽性細胞は高値を示し、再燃に関与か。
⑥難治性蕁麻疹患者の凝固異常の解析(相原)。
⑦診断治療の手引きの作成改定とHP上の公開をおこなった。
結論
AIAが強い喘息難治化因子であり、Cys-LTs過剰産生とマスト細胞が影響している。また細胞、動物類似モデルの開発検討が可能となった。さらに鼻茸細胞研究からAIA関連因子が明らかとなった。抗炎症性メディエーターの産生抑制が証明された。など多くの国際的成果を挙げた。

公開日・更新日

公開日
2012-06-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201126026Z