関節リウマチにおける骨髄・骨格形成細胞間ネットワークの解明と根治療法の開発

文献情報

文献番号
201126025A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチにおける骨髄・骨格形成細胞間ネットワークの解明と根治療法の開発
課題番号
H23-免疫・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
西本 憲弘(和歌山県立医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中畑 龍俊(京都大学iPS細胞研究所)
  • 大平 充宣(大阪大学大学院医学系研究科 生命機能研究科 適応生理学教室)
  • 吉川 秀樹(大阪大学大学院医学系研究科 器官制御外科学)
  • 小守 壽文(長崎大学医歯薬学総合研究科 生命医科学講座 細胞生物学分野)
  • 島岡 康則(行岡医学研究会行岡病院)
  • 田中 栄(東京大学医学部附属病院 整形外科・脊椎外科)
  • 桑名 正隆(慶應義塾大学医学部 リウマチ内科)
  • 堀内 行雄(川崎市立川崎病院)
  • 松尾 光一(慶應義塾大学医学部共同利用研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチ(RA)の原因病巣は骨髄の可能性がある。RA患者の骨髄異常を確認するとともに、病態形成に関わる免疫細胞や骨、軟骨、筋細胞などの骨髄間葉系細胞からの初期分化における異常と増殖・分化制御機構を明らかにする。
研究方法
1.骨髄細胞における異常の解析:RA患者骨髄血における遺伝子発現を、マイクロアレイを用いて網羅的に解析し、バイオインフォマティクスを用いて骨髄機能異常を検討した。また、骨髄細胞の種々の表面マーカーをFACSで測定した。ヒトiPS細胞から単球系細胞へ分化させる培養系を確立し、細胞機能を解析した。
2.骨髄間葉系由来の細胞のネットワーク制御の検討:三次元培養システムを構築し、力学刺激下での細胞応答を検討した。遺伝子改変マウスならびにin vitroでの遺伝子発現調節を用い、骨細胞による骨芽細胞と破骨細胞の分化制御機構、細胞生存能・骨吸収能を検討した。損傷筋再生におけるIL-6の役割を免疫組織化学的分析により検討した。
3.RA患者における臨床的検証:C1qの新規ELISA法を開発し、RA重症度、関節破壊の進行や臨床的特徴との関連を検証した。“ヒトゲノム・遺伝子解析研究”、“疫学研究”“臨床研究”の各倫理指針に沿った。
結果と考察
1.RA骨髄において免疫・アポトーシス機能の亢進と、骨格・筋形成、細胞接着・増殖などの機能低下が見つかった。また癌患者に見られるCD14+CD15+細胞がRA患者骨髄にも存在した。生物学的製剤による治療でどのように変化するか検討したい。iPS細胞研究では、単球、樹状細胞へ分化させる系を確立した。樹状細胞はT細胞への抗原提示能を保持していた。今後RA特異的iPSを作成することで、CD14+CD15+細胞分化や薬剤の反応性の研究に応用する予定である。
2.三次元培養系では、力学刺激により細胞形態のみならず、サイトカインやマトリックス分解酵素の産生パターンは異なった。また、骨細胞による骨芽細胞と破骨細胞分化の制御が明らかになった。PDK4はRANKLの発現調節を介して骨代謝を調節する。また、Mcl-1やFra-1が新たな治療標的分子候補として見つかった。
3.C1q値がRAの関節破壊の進行と相関した。前述の骨髄異常との関連を検討する予定である。
結論
RA患者の骨髄異常が明らかになった。iPSや三次元培養系を用いて、RA発症機構や薬剤の反応性の研究を行う。

公開日・更新日

公開日
2012-06-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201126025Z