本邦関節リウマチ患者の疾患活動性・身体障害度・有害事象・医療費用の推移を明らかにするための多施設共同疫学研究

文献情報

文献番号
201126024A
報告書区分
総括
研究課題名
本邦関節リウマチ患者の疾患活動性・身体障害度・有害事象・医療費用の推移を明らかにするための多施設共同疫学研究
課題番号
H23-免疫・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
當間 重人(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤智太郎(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)
  • 末永康夫(独立行政法人国立病院機構別府医療センター)
  • 千葉実行(独立行政法人国立病院機構盛岡病院)
  • 松井利浩(独立行政法人国立病院機構相模原病院)
  • 金子敦史(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)
  • 佐伯行彦(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター)
  • 税所幸一郎(独立行政法人国立病院機構都城病院)
  • 吉永泰彦(財団法人倉敷成人病センター)
  • 森 俊仁(独立行政法人国立病院機構相模原病院)
  • 杉井章二(東京都立多摩総合医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦関節リウマチ(RA)患者に関する情報を多施設共同で収集解析し、現状や問題点を明らかにする。
研究方法
毎年1回患者情報を収集、今年度は2010年度分データを収集追加。データ収集管理はNHO本部に設置されている統合サーバで。参加施設は2012年3月現在30施設。
結果と考察
1.2011年度は7254人のデータを収集、ここ3年間は本邦RA患者約1%の情報を収集。2.RA患者の疾患活動性を経年的横断的にみて、CRP・ESR・DAS28・SDAI・CDAI・Boolean・mHAQの更なる改善を確認。3.低BMIと高疾患活動性に関連性あり、因果関係については不明。4.生物学的製剤の使用頻度はさらに増加、18.6%の患者に投与。5.2003から2010年度へとRA関連手術頻度は連続的に減少。6.RA関連入院は減少。感染症・間質性肺炎・骨粗鬆症関連入院が減少傾向になく問題。7.RA患者における結核SIR(標準化罹病率)を、2003年度から2年度ごとに算出すると、3.98→4.24→4.76→3.86と高く推移。RA患者の結核罹患リスクは低下せず。8. RAにおける悪性腫瘍全般のSIRはほぼ1.0、悪性リンパ腫の発症リスクは高く、消化器系癌が少ないことを再確認。女子患者においては膀胱癌のリスクが高いことも再確認。9.2010度も平均死亡時年齢はさらに高齢へ。RA患者の生命予後改善を示唆。死因は感染症が第1位で最多は肺炎。10.RA患者一人あたりの抗リウマチ費用は2004年度以降直線的に増加、2010年度は約38万円/年/患者、うち72.2%は生物学的製剤費用。11. RA治療に要した費用(RA治療入院、有害事象入院、抗リウマチ薬費用のみ)/年/患者は、2009年度551,350円、2010年度571,998円。RA関連入院費用が減少し抗リウマチ薬費用が増加。12.2010年度、寛解により生物学的製剤中止に至ったのは13例。13.NinJa2010を用いた受信者動作特性曲線による解析の結果、Boolean型の最低疾患活動性に対し、RAPID3で5以下、SADIで5.5以下、CDAIで5以下を最低疾患活動性のカットオフとした場合、感度86%、特異度90%、陽性的中率78-79%、陰性的中率94%とDASに基づく指標型の定義より一致率が高い。これらの基準により最低疾患活動性の概念をRAの日常診療に導入できる可能性。
結論
新規治療法が続々と導入される現在、本データベースは継続的に蓄積されていくべきものであり、本邦RA患者の現状把握、治療法検証、有害事象の観測、医療費用測定に極めて有用性の高いデータベースである

公開日・更新日

公開日
2012-06-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201126024Z