関節リウマチの関節破壊機序の解明と関節破壊「ゼロ」を目指す治療法確立に関する研究

文献情報

文献番号
201126023A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチの関節破壊機序の解明と関節破壊「ゼロ」を目指す治療法確立に関する研究
課題番号
H23-免疫・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
田中 良哉(産業医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 小池 隆夫(北海道大学 医学部)
  • 住田 孝之(筑波大学 医学部)
  • 竹内 勤(慶應義塾大学 医学部)
  • 三森 経世(京都大学 医学部)
  • 宮坂 信之(東京医科歯科大学 医学部)
  • 山中 寿(東京女子医科大学 医学部)
  • 山本 一彦(東京大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチ(RA)患者に必発する進行性関節破壊は、機能予後不良に伴う社会的損失や関節置換術などによる医療費負担を生じてきた。日本人RAは、難治性、関節破壊進行が急速・高度で、関節が破壊・変形すると不可逆的となり、身体機能の低下は必至である。そこで、(1)難治性RAの関節破壊の機序の解明、修復、(2)関節破壊「ゼロ」を目指す治療法確立を主目的とし、基礎的・臨床的の重層的研究を行った。
研究方法
①RAの関節破壊関連因子を同定し、モデル動物を用いて関節破壊における役割を解明した。また、間葉系幹細胞を用いて関節破壊の再生・修復に関する研究を行った。②RA患者に対して保険診療内で実施できる関節破壊ゼロを目標とした治療ガイドラインを作成し、早期RA患者に対するZERO-J試験としてUMIN登録し、1年後の関節X線で総Sharp値(mTSS)変化を検証する試験を開始した。
結果と考察
①RA疾患・関節破壊関連分子としてPADI4、TREM-1、T-betなどが同定され、PADI4-KOマウスDBA/1J 系での関節炎スコアの抑制、T-bet-Tgマウスに於ける関節炎、関節破壊の抑制、TREM1LによるTNF産生抑制などが証明された。さらに、ヒト間葉系幹細胞を用い、wnt5a/ror2シグナルを介する骨芽細胞、軟骨細胞への分化誘導、ナノファイバーを用いた3次元骨再生系を確立し、関節破壊の修復基盤を構築した。②TNF阻害薬とMTXの併用により関節破壊抑制と機能障害改善効果を実証した。この結果を基に、関節破壊をゼロにすることを目指した治療ガイドラインを改訂し、検証、確立するためのエビデンスを構築することを目的としたZERO-J試験を開始した。現在、継続的な患者データベースを構築し、関節X線から総Sharpスコアを算出して関節破壊を評価すべく症例の蓄積と検証を開始した。
結論
①RA疾患・関節破壊関連分子としてPADI4、TREM-1、T-betを同定し、関節破壊の分子機序を解明し、また、ヒト間葉系幹細胞から3次元骨再生系を確立した。②関節破壊を「ゼロ」にすることを目指した治療ガイドラインを改訂し、検証、確立するためのエビデンスを構築することを目的としたZERO-J試験を開始した。

公開日・更新日

公開日
2012-06-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201126023Z