ヒト関節リウマチ特異的CD4陽性細胞および血漿・関節液miRNAの同定と治療・診断への応用

文献情報

文献番号
201126022A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト関節リウマチ特異的CD4陽性細胞および血漿・関節液miRNAの同定と治療・診断への応用
課題番号
H22-免疫・若手-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
吉富 啓之(京都大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 孝志(京都大学 大学院医学研究科)
  • 伊藤 宣(京都大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
動物モデルとヒト疾患には違いがあり患者検体での解析が必要である。本研究ではヒトRAにおけるCD4陽性T細胞の役割の解明と疾患特異的マイクロRNA(miRNA)の同定を目的として以下の解析を行った。
研究方法
1.IL-27のRAにおける役割の解析。2.RA炎症関節中CD4陽性T細胞の解析。3.RA特異的な血漿中miRNAの網羅的検索である。
結果と考察
その結果として下記の結果が得られた。1.IL-27は炎症性サイトカインの産生を抑制したが、RA関節液においてIL-27とIFN-γは正の相関を示すのに対しIL-27とIL-17は弱い負の相関を示し、RA関節においてIL-27は実際にTh1の分化を促しTh17の分化や遊走を抑制すると考えられた。2.関節リウマチにてCD4陽性細胞が産生する2因子を同定した。そのうち1つは関節中CD4陽性細胞にTh1細胞と同程度の高頻度で発現を認めTh1やTh17と独立した分画が産生するパターンを示した。末梢血では関節リウマチ患者でも発現をみとめず、局所炎症に関連した現象と考えられた。3.網羅的に解析されたマイクロRNA768個のうち健常人、関節リウマチそれぞれ3検体の解析で候補となった一次候補血漿中マイクロRNAは49種であった。これらのマイクロRNAのうち6検体で差が認められたものは17種類であった。48名の健常人と関節リウマチ患者を区別するROC解析にて、0.88以上のものを6種類認めた。17種類の血漿中マイクロRNAは抗CCP抗体が陽性陰性にかかわらず関節リウマチ患者で同様の発現を示し、抗CCP抗体陰性症例での早期診断に使用できる可能性が示唆された
結論
以上のヒトRA検体を用いた研究でIL-27産生細胞がリウマチ滑膜組織内に浸潤することが明らかとなった。機能強化による新たな治療が期待される。また関節液に存在するCD4陽性細胞が産生する分子を同定しており、ヒト関節リウマチの新たな治療への応用が期待できる。さらに網羅的な解析をすることにより多数の特異的なmiRNAを同定した。抗CCP抗体陰性症例にも用いることの出来る感度、特異度、発症予測性、予後予測性を有する検査の確立が期待できる。さらに、同定したmiRNAが標的として抑制する遺伝子を解析することで、RAの病態機序の解明が期待される。

公開日・更新日

公開日
2012-06-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201126022Z