文献情報
文献番号
201126015A
報告書区分
総括
研究課題名
アレルギー疾患感受性遺伝子であるヒスタミンH1受容体遺伝子の発現抑制作用を持つ天然物を用いる治療戦略
課題番号
H22-免疫・一般-005
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
福井 裕行(国立大学法人徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
研究分担者(所属機関)
- 武田 憲昭(国立大学法人徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
- 水口 博之(国立大学法人徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
- 柏田 良樹(国立大学法人徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
- 根本 尚夫(国立大学法人徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
- 斎藤 博久(独立行政法人国立成育医療研究センター)
- 中山 勝文(国立大学法人東北大学 加齢医学研究所)
- 有信 洋二郎(九州大学病院 遺伝子細胞療法部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
24,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
鼻過敏症感受性遺伝子群を明らかにする。(-)マーキアイン((-)MKN)のH1R遺伝子発現抑制機構を解明する。苦参((-)MKN)による喘息モデルマウス、皮膚炎モデルマウスの改善、マクロファージの炎症性サイトカイン産生及び好酸球の分化の抑制を明らかにする。
研究方法
1.花粉症患者及び鼻過敏症モデルラット鼻粘膜のmRNAを測定する。2.H1R遺伝子発現亢進の分子機構を解明し、(-)MKNの作用点を同定する。3.急性喘息モデルマウスの血清IgG1、IgE、BALF中の炎症細胞数及びサイトカイン濃度、LPS刺激マウス骨髄由来マクロファージのNF-kB、MAPK活性上昇及び炎症性サイトカイン上昇に対する(-)MKNの抑制作用を検討する。4.苦参による骨髄系細胞から顆粒球・単球及び好酸球への分化に対する抑制、皮膚炎モデルマウスに対する改善作用を検討する。
結果と考察
1.H1R、HDC、IL-4及びIL-5遺伝子は花粉症感受性遺伝子群を形成した。2.H1R刺激により、PKCδ活性化とゴルジ体移行、MEK、ERK、PARPが活性化され、AP-1/Ets-1及びKu70/Ku86の転写調節因子を介してH1R遺伝子発現が亢進し、(-)MKNはHSP90に結合しPKCδのゴルジ体移行を抑制した。3.H1R遺伝子と感受性遺伝子Cの発現抑制により鼻過敏症モデルラット症状が90%改善した。4.(-)MKNは喘息モデルマウスのIgE、KC/CXCL1、サイトカインの抑制傾向を示し、TLR4刺激マクロファージのH1R経路を介するIL-6の増加を抑制した。5.苦参は好酸球への分化過程でのCCR3の発現増強を抑制し、皮膚炎モデルマウスの改善傾向を示した。
結論
鼻過敏症症状に対してH1R-PKCδ-HSP90-ERK-PARPシグナルが寄与し、H1R、HDC、IL-4及びIL-5遺伝子が疾患感受性遺伝子群を形成した。(-)MKNの標的としてHSP90を同定した。H1R遺伝子と感受性遺伝子Cの発現抑制は鼻過敏症モデルラット症状を強力に改善した。(-)MKNはマクロファージのH1Rを介した炎症性サイトカイン産生に対する抑制能及び好酸球のCCR3発現に対する抑制能を持ち、気管支喘息、アトピー性皮膚炎の症状改善能を持つことが明らかとなった。
公開日・更新日
公開日
2015-06-30
更新日
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