患者末梢血を用いた重症薬疹モデルマウスの作成および発症機序の解明

文献情報

文献番号
201126009A
報告書区分
総括
研究課題名
患者末梢血を用いた重症薬疹モデルマウスの作成および発症機序の解明
課題番号
H21-免疫・若手-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
阿部 理一郎(北海道大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 尾崎 倫孝(北海道大学 大学院医学研究科)
  • 北市 伸義(北海道大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
6,844,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、重症薬疹モデルマウスを作成・樹立し、さらに重症薬疹の発症機序を解明することである。
研究方法
1)重症薬疹モデルマウスの作成:免疫不全マウス(NOGマウス)はT細胞、B細胞に加えNK細胞も欠損し、特にヒト細胞に対して免疫反応を起こしにくい特徴を持つ。
研究計画:NOGマウスに、重症薬疹患者の末梢血単核球を静注する。連日患者それぞれの原因薬剤を経口的にマウスに投与する。他覚所見(皮膚症状、粘膜症状、眼症状)、末梢血FACS解析、生化学検査。よりヒト疾患病態に近い重症薬疹モデルマウス作成を行う。NOGに重症薬疹患者の皮膚を移植し、正着後、同患者の末梢血単核球を同マウスに静注し、さらに連日原因薬剤を経口的にマウスに投与する。臨床所見等を観察する。
2)重症薬疹早期診断のための血清マーカー検索:これまでイムノクロマト法を用いて、granulysinの迅速測定キットの作成に成功した。本年度においては、引き続き実際の臨床における有効性を検討するために多施設において、重症薬疹への進展が予想される薬疹患者、または通常の薬疹患者において測定を行う。
結果と考察
1)重症薬疹モデルマウスの作成:患者末梢血単核球をNOGマウスに静注し、原因薬剤投与群、非投与群とで比較検討した。臨床症状として薬剤投与10日目以降眼症状が肉眼的に確認できたが、非投与群ではみられなかった。眼部、特に結膜に著明な浮腫が認められた。
さらにヒト疾患病態に近い重症薬疹モデルマウスの作成を行った。患者皮膚をNOGマウスに移植し生着後、患者末梢血単核球を静注し、経口的に原因薬剤を投与した。同マウスにおいて、移植部に一部淡褐部が見られた。組織学的にも同部位に表皮細胞のアポトーシスが確認できた。
2)重症薬疹早期診断のための血清マーカー検索:我々は重症薬疹患者血清中のgranulysin濃度を測定したところ、水疱・びらん、または粘膜疹出現前に80%の患者において有意に上昇し、その後速やかに減少傾向を示した。一方通常薬疹では94%の患者で正常域であった。以上からsFasLと同様に重症薬疹早期診断に有用であることを見出した。
今後の問題点、検討課題として、1)実際のヒト重症薬疹病態との差異を明確にする。マウスを用いているためすべてにおいて免疫反応を含めた病態を模倣することは困難である。今後のモデルマウス活用に際しての利点を明らかにする。2)同モデルを用いて、重症薬疹特異的現象が生じているか詳細に確認する。
結論
本研究3年目で早期診断判定テストの多施設における有用性の検討を行い、加えてモデルマウスを用いた重症薬疹病態解明を行った。

公開日・更新日

公開日
2012-06-07
更新日
-

文献情報

文献番号
201126009B
報告書区分
総合
研究課題名
患者末梢血を用いた重症薬疹モデルマウスの作成および発症機序の解明
課題番号
H21-免疫・若手-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
阿部 理一郎(北海道大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 尾崎 倫考(北海道大学 大学院医学研究科)
  • 北市 伸義(北海道大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、重症薬疹モデルマウスを作成・樹立し、さらに重症薬疹の発症機序を解明することである。
研究方法
1)重症薬疹モデルマウスの作成:免疫不全マウス(NOGマウス)はT細胞、B細胞に加えNK細胞も欠損し、特にヒト細胞に対して免疫反応を起こしにくい特徴を持つ。
研究計画:NOGマウスに、重症薬疹患者の末梢血単核球を静注する。連日患者それぞれの原因薬剤を経口的にマウスに投与する。他覚所見(皮膚症状、粘膜症状、眼症状)、末梢血FACS解析、生化学検査。よりヒト疾患病態に近い重症薬疹モデルマウス作成を行う。NOGに重症薬疹患者の皮膚を移植し、正着後、同患者の末梢血単核球を同マウスに静注し、さらに連日原因薬剤を経口的にマウスに投与する。臨床所見等を観察する。
2)重症薬疹早期診断のための血清マーカー検索:これまでイムノクロマト法を用いて、granulysinの迅速測定キットの作成に成功した。本年度においては、引き続き実際の臨床における有効性を検討するために多施設において、重症薬疹への進展が予想される薬疹患者、または通常の薬疹患者において測定を行う。
結果と考察
1)重症薬疹モデルマウスの作成:患者末梢血単核球をNOGマウスに静注し、原因薬剤投与群、非投与群とで比較検討した。臨床症状として薬剤投与10日目以降眼症状が肉眼的に確認できたが、非投与群ではみられなかった。眼部、特に結膜に著明な浮腫が認められた。
さらにヒト疾患病態に近い重症薬疹モデルマウスの作成を行った。患者皮膚をNOGマウスに移植し生着後、患者末梢血単核球を静注し、経口的に原因薬剤を投与した。同マウスにおいて、移植部に一部淡褐部が見られた。組織学的にも同部位に表皮細胞のアポトーシスが確認できた。
2)重症薬疹早期診断のための血清マーカー検索:我々は重症薬疹患者血清中のgranulysin濃度を測定したところ、水疱・びらん、または粘膜疹出現前に80%の患者において有意に上昇し、その後速やかに減少傾向を示した。一方通常薬疹では94%の患者で正常域であった。以上からsFasLと同様に重症薬疹早期診断に有用であることを見出した。
今後の問題点、検討課題として、1)実際のヒト重症薬疹病態との差異を明確にする。マウスを用いているためすべてにおいて免疫反応を含めた病態を模倣することは困難である。今後のモデルマウス活用に際しての利点を明らかにする。2)同モデルを用いて、重症薬疹特異的現象が生じているか詳細に確認する。
結論
本研究3年目で早期診断判定テストの多施設における有用性の検討を行い、加えてモデルマウスを用いた重症薬疹病態解明を行った。

公開日・更新日

公開日
2012-06-07
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201126009C

収支報告書

文献番号
201126009Z