文献情報
文献番号
201126001A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リューマチに対するアプタマーRNA新薬の開発
課題番号
H21-免疫・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
中村 義一(東京大学 医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
- 石黒亮(東京大学 医科学研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究ではRNAアプタマーを利用して、炎症性サイトカイン等の機能的なバランスを回復させ、関節リウマチの予防・治療に役立つRNA新薬の開発を推進する。アプタマーRNAは、人工進化法により選び抜かれた標的に対する特異的な高親和性分子で、抗体に代わる次世代の高分子医薬である。本研究では、長年蓄積してきた我々のプラットフォーム技術を利用して、新コンセプトのRNA新薬を開発する。
研究方法
すでにIL-17阻害性アプタマーの作出を完了し、これがIL-17と受容体との結合を完全に阻害、培養細胞レベルでIL-17A添加によるIL-6の誘導を完璧に遮断することを確認した。また、2種類のマウスモデルを用いて薬効を解析した結果、抗IL-17Aアプタマーの発症予防効果及び治癒効果がみられた。
結果と考察
全長31塩基まで短鎖化したアプタマーの、更なる最適化を図る目的で、多数の変異体とIL-17Aタンパク質の相互作用を表面プラズモン共鳴法により確認した。その結果、これまで以上に高い結合を示す変異体を多数取得。全ての変異体を、正常ヒト皮膚繊維芽(NHDF)を使用したIL-17A異存的IL-6産生試験により解析した。変異体の中には、これまでのアプタマー候補(Apt21-2)を遥かに凌ぐ阻害能を有するものが複数存在し、その配列を基に、更に変異を導入しての選抜を繰り返した。最終的に残った数種類の候補は、当初開発したアプタマーのIC50値濃度と比較すると、40倍以上中和効果が改善していた。
結論
我々が取得した抗IL-17A RNAアプタマーは、関節リウマチや多発性硬化症のマウスモデルで優れた発症阻害効果、及び明らかな治癒効果を示す。今回、修飾塩基の効果的な導入により、当初の40倍以上という高い中和効果を有する変異体の取得に成功した。これらの結果は、RNAが個性ある立体構造を形成して機能する高分子マテリアルとしてのポテンシャルを強く示唆するものでもある。
今後、予備毒性試験を進める準備はできており、他に類を見ないような作用機序を持つ慢性関節リウマチ治療薬へと昇華させることが可能と考える。
今後、予備毒性試験を進める準備はできており、他に類を見ないような作用機序を持つ慢性関節リウマチ治療薬へと昇華させることが可能と考える。
公開日・更新日
公開日
2012-06-07
更新日
-