移植肝へのC型肝炎ウイルス再感染阻害法の確立

文献情報

文献番号
201125044A
報告書区分
総括
研究課題名
移植肝へのC型肝炎ウイルス再感染阻害法の確立
課題番号
H23-肝炎・若手-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
渡利 彰浩(国立大学法人 大阪大学 大学院 薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 角田 慎一(独立行政法人医薬基盤研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 肝移植は肝細胞癌に対する根治療法として臨床的意義が極めて高いものの、本邦における肝細胞癌の90%はC型肝炎由来であることから、移植片に対するC型肝炎ウイルス(HCV)の再感染阻害が本邦における肝細胞癌治療における最重要課題の一つとなっている。最近、claudin (CL)-1がHCVの感染受容体であること、CL-1を標的としたHCVの感染阻害が報告され、CL-1を標的としたHCV 感染阻害戦略が提唱された。これらの背景を踏まえ、本研究は、当研究グループが所有するCL binderを用いた粘膜ワクチン、粘膜収集促進法などの創薬研究技術、およびCL提示出芽バキュロウイルスとCL欠損マウスを融合したCL binder創製技術を有効活用し、現在唯一HCV感染阻害効果が実証されているCL-1 binderを創製することで、肝移植片に対するC型肝炎ウイルスの再感染阻害法の開発を目的とする。
研究方法
CL欠損マウスおよびCL提示出芽バキュロウイルス(CL-BV)を利用した一本鎖抗体 (scFv)ライブラリの作製を試みた。まず、抗原として出芽バキュロウイルスの膜蛋白質発現系を活用することでCL-BVを作製し、CL欠損マウスに免疫することにより、CLに対する抗体産生を誘導した。CL-BV免疫マウスの脾臓をもとにscFvライブラリを構築した。
結果と考察
CL免疫scFvライブラリを作製する際、用いる抗原としてCL蛋白質が必要であるが、CLはintactな状態での蛋白質精製が困難である。そのため、出芽バキュロウイルスを用いた膜蛋白質発現系を活用し、CL提示バキュロウイルス(CL-BV)を作製した。また、CL-1結合性scFvの探索系として4種のCL発現細胞(HT1080/hCL-1, hCL-2, hCL-4, hCL-5)を作製した。
  CL蛋白質は抗原性が低いため、CLに対する抗体産生誘導は困難である。そこでCL欠損マウスを利用し、このマウスにCL-BVを免疫した。その結果、免疫CLに対する抗体産生の誘導に成功した。そこで、CLの抗体産生誘導を行ったCL欠損マウスの脾臓をもとに、ファージディスプレイscFvライブラリを構築した。
結論
本研究では、抗体に比して組織浸透性に優れ、製造コストの低い一本鎖抗体に着目し、CL-1結合性scFv取得のため、CL欠損マウスおよびCL提示出芽バキュロウイルスを利用したCL免疫scFvライブラリの作製を試み、その構築に成功した。

公開日・更新日

公開日
2012-06-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201125044Z