免疫機能を保持したヒト肝細胞キメラマウスによる慢性肝炎モデル作出

文献情報

文献番号
201125041A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫機能を保持したヒト肝細胞キメラマウスによる慢性肝炎モデル作出
課題番号
H23-肝炎・若手-007
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
紙谷 聡英(東海大学 創造科学技術研究機構)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1) 患者由来のヒト繊維芽細胞を用いて、肝細胞誘導因子の遺伝子導入によりヒト肝前駆細胞を誘導する。
(2) 免疫系の完成していない胎生期や新生児期のマウス肝臓にヒト肝幹・前駆細胞を移植し、ヒト細胞をレシピエントの免疫系に自己と認識させることで免疫寛容を促す。
(3) 免疫不全動物を使用せず異種移殖に対する免疫拒絶反応を抑制することで、免疫系を保持した状態でのヒト細胞の生着を可能としたキメラマウスを作成し、in vivoにおける肝炎ウイルスの感染・増殖に伴う炎症反応の再現系を構築する。

研究方法
1.ヒト繊維芽細胞からの肝前駆細胞の分化誘導および純化系の構築
申請者はマウス繊維芽細胞を肝細胞様細胞へと分化誘導できる遺伝子群の探索から、数種類の候補転写因子を同定している。そこでヒト繊維芽細胞にこの遺伝子群を導入して肝前駆細胞へと誘導する系を確立し、培養や純化を行なう。
2.肝障害誘導マウス胎児を用いた、生体由来肝前駆細胞の移植系の構築
マウスの胎児または新生児期肝臓に肝前駆細胞を移植し、ドナー肝細胞への置換を可能とする移植時期や肝障害の誘導時期を検討する。
結果と考察
(1) 線維芽細胞から肝前駆細胞を分化誘導するために必要な遺伝子群の探索を行い、既知の分化誘導因子であるHNF4AおよびFoxA3に加えて、新規の肝分化誘導因子を同定した。
(2) ヒト肝幹・前駆細胞のin vitroでの培養条件の探索を行い、ヒトiPS細胞由来細胞を用いて、肝幹・前駆細胞の増殖を促進する条件を見出した。
(3) マウス胎児および新生児への移植系の構築を行い、マウス胎児肝臓由来の肝幹・前駆細胞の移植により肝臓および異所性の生着・増殖が見られることが分かった。
結論
本年度の研究成果を元に以下の研究を今後遂行する。
1. ヒト繊維芽細胞からの肝前駆細胞の分化誘導および純化系の構築
 マウス細胞をモデルとして決定した肝細胞Direct Reprograming因子群を用いて、ヒト線維芽細胞からの肝前駆細胞誘導を行う。我々は既に、ヒトiPS細胞からの肝前駆細胞の純化・培養系を構築しており、同様の方法でDirectにReprogramingしたヒト線維芽細胞由来肝前駆細胞を培養する。
2. 肝障害誘導マウス胎児を用いた、ヒト肝前駆細胞の移植系の構築
マウスの胎児または新生児期肝臓に肝前駆細胞を移植し、ドナー肝細胞への置換を可能とする移植時期や肝障害の誘導時期を検討する。

公開日・更新日

公開日
2012-06-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201125041Z