ウイルス性肝疾患患者の食事・運動療法とアウトカム評価に関する研究

文献情報

文献番号
201125037A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイルス性肝疾患患者の食事・運動療法とアウトカム評価に関する研究
課題番号
H23-肝炎・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
森脇 久隆(岐阜大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 西口 修平(兵庫医科大学)
  • 村上 啓雄(岐阜大学 大学院医学系研究科 )
  • 加藤 昌彦(椙山女学園大学 生活科学部 )
  • 福澤 嘉孝(愛知医科大学 大学院医学研究科 )
  • 水田 敏彦(佐賀大学 医学部)
  • 海堀 昌樹(関西医科大学)
  • 清水 雅仁(岐阜大学 医学部附属病院 )
  • 白木 亮(岐阜大学 医学部附属病院 )
  • 永田 知里(岐阜大学 大学院医学系研究科 )
  • 岡本 康子(浜松医療セ ンター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
28,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
慢性ウイルス性肝疾患とくに肝硬変には高い頻度で蛋白・エネルギー栄養障害が合併し、生命予後や生活の質(QOL)の悪化因子となる。この問題に対応するため、最近の肝硬変診療ガイドライン(日本消化器病学会2010年、他)に蛋白・エネルギー栄養障害に対する具体的な推奨が記載されている。しかしこれらのガイドライン作成に用いられたエビデンスの刊行は2005-7年、患者自体のリクルートは1995-2000年であり、既に10年以上が経過した。この間に肝硬変とはいえ栄養状態の変化が示唆され、現行のガイドラインの再検討が求められている。本研究は先ず現在の肝硬変患者が如何なる栄養状態にあるかを評価し、新たな推奨の根拠を明らかにすることを目的とした。
研究方法
共同研究:班員各施設において肝硬変患者の蛋白・エネルギー栄養状態を評価し、欠損データのない300例を目標エントリー数とした。蛋白栄養状態は血清アルブミンならびに上腕筋周囲、エネルギー栄養状態は間接熱量測定、体格指数(BMI)、上腕周囲径、上腕三頭筋部皮下脂肪厚をパラメータに用いた。
結果と考察
共同研究:目標症例数の集積を達成し、解析の結果、以下を明らかにした。
1. 蛋白栄養状態は1995年の調査と比較し有意の変動が無い。
2. エネルギー栄養状態は、protein-energy malnutrition, energy malnutritionいずれの評価を用いても1995年に比べ栄養障害が有意に減少した。逆に肥満を有する肝硬変患者は1995年報告の18%から、今回の報告では33%まで増加していることが明らかとなった。
 研究初年度の到達目標には、現時点における肝硬変患者の栄養評価をおいた。その結果、1995年との比較で蛋白栄養状態に著変は無いが、エネルギー栄養が充足、一部は過剰すなわち肥満側にシフトしたことが明瞭となった。
結論
 最近10-15年間における肝硬変患者の栄養状態変化を解明した。蛋白栄養状態に有意の変化は無い一方、エネルギー栄養状態は明らかに不足から充足・過剰側にシフトした。従って患者個々人を考える場合、特にエネルギー栄養評価の重要性が高まり、また適切な食事メニューの提供、さらに運動指導の方策確立が緊急の課題となっている。

公開日・更新日

公開日
2012-05-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201125037Z