創薬と新規治療法開発に資するヒト肝細胞キメラマウスを用いた肝炎ウイルス制御に関する研究

文献情報

文献番号
201125034A
報告書区分
総括
研究課題名
創薬と新規治療法開発に資するヒト肝細胞キメラマウスを用いた肝炎ウイルス制御に関する研究
課題番号
H23-肝炎・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
茶山 一彰(広島大学大学院 医歯薬保健学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 吉里勝利((株)フェニックスバイオ)
  • 金子周一(金沢大学)
  • 土方誠(京都大学ウイルス研究所)
  • 高倉喜信(京都大学院薬学研究科)
  • 前川伸哉(山梨大学大学院医学工学総合研究部)
  • 松浦善治(大阪大学微生物病研究所)
  • 大段秀樹(広島大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 脇田隆字(国立感染症研究所)
  • 今村道雄(広島大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
60,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、このヒト肝細胞キメラマウスを用いて、ウイルス性肝炎の根治と病状緩和に有用な治療法を開発することを目的とし、(1) 創薬のシーズの探索、(2) 開発された薬剤の応用、(3) 肝炎モデルの創生、の3点を中心に行う。
研究方法
創薬のシーズの探索に関する研究では、これまでに行ってきた研究である新規候補となる薬剤の抗ウイルス効果の検証を行った。また、様々なIL28B多型の提供者から得られた肝細胞を移植したキメラマウスを使用して、ウイルスの変異とIL28Bの多型との関連について、ウイルス増殖、インターフェロン応答性の面からの解析を行った。(2) 開発された薬剤の応用に関する研究では、これまでに作製したHCV KT-9クローンのリバースジェネティックスの系を利用して各種DAA製剤に対する耐性ウイルスを作製し、それぞれに対してどのような薬剤が有効か、また、多剤併用でウイルスの完全な排除が可能かどうかについて検討し、IFNを使用しない治療法の確立を目指した。(3) 肝炎モデルの創生に関する研究ではキメラマウスにヒトリンパ球が生着できる条件について検討した。
結果と考察
創薬のシーズの探索:Niemann-Pick C1-like 1(NPC1L1)の阻害剤であるエゼチミブやプロスタグランジンI受容体アゴニストのC型肝炎ウイルス(HCV)感染阻害効果が見いだされた。難治性のIL28B遺伝子を持つ肝細胞ではIFN投与後のIFN誘導遺伝子発現が低いため治療効果が低いことが示唆された。
開発された薬剤の応用:新規抗HCV療法として、NS5A阻害剤およびProtease阻害剤あるいはNS5B阻害剤を併用しIFN製剤を使用しない経口剤のみによるウイルス排除法、あるいはヒト末梢血単核球分画から培養・増殖させたNK/NKT細胞を用いたHCV感染阻害法の開発を行った。
肝炎モデルの創生:HBVを感染させたマウスでは肝細胞表面のFas発現が更新していた。このモデルにヒト血球細胞を移入することにより、樹状細胞を介してNK細胞がFas Ligand (FasL)を発現し肝細胞のアポトーシスを促進させることを見いだした。
結論
ヒト肝細胞キメラマウスによる肝炎ウイルス感染モデルを用いて、創薬のシーズの探索、開発された薬剤の応用、肝炎モデルの創生の検討が可能であった。

公開日・更新日

公開日
2012-05-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-01-17
更新日
-

収支報告書

文献番号
201125034Z