画期的C型肝炎ウイルス阻害療法の確立を目指した核酸医薬送達ナノシステムの開発

文献情報

文献番号
201125033A
報告書区分
総括
研究課題名
画期的C型肝炎ウイルス阻害療法の確立を目指した核酸医薬送達ナノシステムの開発
課題番号
H22-肝炎・若手-017
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
吉岡 靖雄(大阪大学臨床医工学融合研究教育センター 薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 吉川 友章(大阪大学大学院 薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
C型肝炎ウイルス(HCV)に対する核酸医薬が、既存の治療法の問題点を克服し得る可能性を秘めていることから、次世代型画期的医薬品として注目されている。しかし核酸医薬は一般に、体内安定性・組織特異性・細胞内移行能の乏しさといった致命的欠点から十分な治療効果を発揮できず、これらを克服し得る方法の開発が待望されている。当該研究では、ナノマテリアルによる「siRNA・アンチセンスなど核酸医薬の肝臓送達システムの新規開発」を図り、HCVに対する次世代治療戦略を提示する。
研究方法
直径70 nmの非晶質ナノシリカ(nSP70)の表面をカルボキシル基やアミノ基で修飾したものや、4種類のQドットなどを用いて検討した。
結果と考察
粒子径・表面修飾の異なる非晶質ナノシリカ、及び、Qドットを用い、siRNA導入キャリアーとしての有用性をin vitroで評価した。その結果、いずれの非晶質ナノシリカについても、siRNAによる遺伝子発現抑制効果を確認することはできなかった。一方で、表面が細胞内移行ペプチドやアミノ基で修飾されたQドットは、未だ不十分ではあるものの、siRNAによる遺伝子発現抑制効果が認められ、siRNAの細胞内導入キャリアーになり得る可能性が示された。また、非晶質ナノシリカにおいて、遺伝子発現抑制効果が認められなかった結果を踏まえて、細胞内移行性・動態を検討した。その結果、いずれの非晶質ナノシリカにおいても細胞内への移行が認められ、一部のものについては核内への移行も観察された。今後、非晶質ナノシリカとsiRNAの複合体化を最適化する必要があると考えられた。さらに、生殖発生毒性など安全性評価の一環として、4種類のQドットを妊娠マウスに静脈内投与後の体内動態を検討した。その結果、PEG修飾Qドットが肝臓に選択的に移行することが明らかとなり、優れた肝臓デリバリーキャリアーになり得る可能性が示された。また、T細胞受容体蛋白質を簡便に創製する方法を確立するとともに、蛋白質特性を評価することで、HCV感染肝細胞を特異的に認識するT細胞受容体の創製に向け有用な情報を得た。
結論
平成23年度は当初の予定通り研究が進行したと考えている。平成24年度も、これら基盤情報を発展させ、より加速して当該研究を推進する予定である。

公開日・更新日

公開日
2012-06-01
更新日
-

収支報告書

文献番号
201125033Z