肝炎による肝未分化細胞の発生とその発癌への影響に関する研究

文献情報

文献番号
201125030A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎による肝未分化細胞の発生とその発癌への影響に関する研究
課題番号
H22-肝炎・若手-014
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 淳史(九州大学 生体防御医学研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
5,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
慢性的な肝臓の炎症状態に応答して門脈周囲に出現する卵形細胞(オーバル細胞)は、肝臓の組織幹細胞(肝幹細胞)の特性を有する特殊な細胞である。これまで、慢性肝炎が肝硬変を経て肝癌へと進行する理由はよくわかっていないが、変異したオーバル細胞が腫瘍形成能を獲得することこそ、慢性肝炎が肝癌へと進行するための主要因である可能性が考えられる。そこで本研究では、肝臓の炎症時におけるオーバル細胞の発生機構、及び、オーバル細胞の機能異常の根幹にある分子機構を明らかにし、オーバル細胞を起点とした腫瘍形成メカニズムの解明を試みる。
研究方法
これまでの研究で、我々は、オーバル細胞を肝臓から特異的に分離する技術とそのクローナルな解析系を開発している。そこで本研究では、この独自に開発した解析系と遺伝子改変マウスを用いた生体内の解析系を組み合わせることで、オーバル細胞の機能解析を進める。
結果と考察
肝臓の炎症時に出現するオーバル細胞の起源を同定した。また、細胞の機能制御を担う細胞内シグナル伝達経路のひとつが活性化もしくは不活性化することにより、オーバル細胞の発生が制御されていることを明らかにした。本研究成果を基盤として、今後、さらに研究を進めていくことによって、肝発癌への関与が疑われるオーバル細胞の発生を制御する分子機構の解明やオーバル細胞を起点とした腫瘍形成メカニズムの解明が期待される。
結論
オーバル細胞の由来が明らかになり、その発生や機能異常において、同定した細胞内シグナル伝達経路の活性化が関与することが強く示唆された。

公開日・更新日

公開日
2012-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-01-17
更新日
-

文献情報

文献番号
201125030B
報告書区分
総合
研究課題名
肝炎による肝未分化細胞の発生とその発癌への影響に関する研究
課題番号
H22-肝炎・若手-014
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 淳史(九州大学 生体防御医学研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
慢性的な肝臓の炎症状態に応答して門脈周囲に出現する卵形細胞(オーバル細胞)は、肝臓の組織幹細胞(肝幹細胞)の特性を有する特殊な細胞である。これまで、慢性肝炎が肝硬変を経て肝癌へと進行する理由はよくわかっていないが、変異したオーバル細胞が腫瘍形成能を獲得することこそ、慢性肝炎が肝癌へと進行するための主要因である可能性が考えられる。そこで本研究では、肝臓の炎症時におけるオーバル細胞の発生機構、及び、オーバル細胞の機能異常の根幹にある分子機構を明らかにし、オーバル細胞を起点とした腫瘍形成メカニズムの解明を試みる。
研究方法
これまでの研究で、我々は、オーバル細胞を肝臓から特異的に分離する技術とそのクローナルな解析系を開発している。そこで本研究では、この独自に開発した解析系と遺伝子改変マウスを用いた生体内の解析系を組み合わせることで、オーバル細胞の機能解析を進める。
結果と考察
肝臓の炎症時に出現するオーバル細胞の起源を同定した。また、細胞の機能制御を担う細胞内シグナル伝達経路のひとつが活性化もしくは不活性化することにより、オーバル細胞の発生が制御されていることを明らかにした。以上から、本研究では、オーバル細胞の由来が明確になり、その発生や機能異常において同定した細胞内シグナル伝達経路の活性化が関与することが強く示唆された。本研究成果を基盤として、今後、さらに研究を進めていくことによって、肝発癌への関与が疑われるオーバル細胞の発生を制御する分子機構の解明やオーバル細胞を起点とした腫瘍形成メカニズムの解明が期待される。
結論
オーバル細胞の起源となる細胞を決定し、その発生を制御する細胞内シグナル伝達経路のひとつを明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2012-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2013-01-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201125030C

成果

専門的・学術的観点からの成果
慢性的な肝臓の炎症状態に応答して門脈周囲に出現する卵形細胞(オーバル細胞)は、肝臓の組織幹細胞(肝幹細胞)の特性を有する特殊な細胞である。本研究でオーバル細胞の発生機序が解明されたことは、障害に対する肝臓の再生応答を理解する上で重要な知見となる。
臨床的観点からの成果
本研究でオーバル細胞の発生機序が解明されたことにより、オーバル細胞の機能異常の根幹にある分子機構の解明やオーバル細胞を起点とした腫瘍形成メカニズムの解明が期待される。
ガイドライン等の開発
なし
その他行政的観点からの成果
なし
その他のインパクト
なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
8件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Takashima Y., Terada M., Kawabata M., et al.
Dynamic three-dimensional morphogenesis of intrahepatic bile ducts in mouse liver development
Hepatology , 61 (3) , 1003-1011  (2015)
10.1002/hep.27436
原著論文2
Miura S. and Suzuki A.
Acquisition of lipid metabolic capability in hepatocyte-like cells directly induced from mouse fibroblasts
Frontiers in Cell and Developmental Biology , 2 (43) , 1-6  (2014)
10.3389/fcell.2014.00043
原著論文3
Sekiya S. and Suzuki A.
Hepatocytes, rather than cholangiocytes, can be the major source of primitive ductules in the chronically injured mouse liver
American Journal of Pathology , 184 (5) , 1468-1478  (2014)
10.1016/j.ajpath.2014.01.005
原著論文4
Sekiya S. and Suzuki A.
Intrahepatic cholangiocarcinoma can arise from Notch-mediated conversion of hepatocytes
Journal of Clinical Investigation , 122 (11) , 3914-3918  (2012)

公開日・更新日

公開日
2016-05-23
更新日
-

収支報告書

文献番号
201125030Z