アデノウイルスベクターを利用したC型肝炎治療薬創製基盤技術の開発

文献情報

文献番号
201125029A
報告書区分
総括
研究課題名
アデノウイルスベクターを利用したC型肝炎治療薬創製基盤技術の開発
課題番号
H22-肝炎・若手-013
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
櫻井 文教(大阪大学大学院薬学研究科 分子生物学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 渡利 彰浩(大阪大学大学院薬学研究科 生体機能分子化学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,550,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、抗HCV活性評価系としてヒト肝臓キメラマウスが汎用されているが、HCV長鎖RNAゲノム(9.6 kb)を肝臓で発現可能なベクターは開発されておらず、抗HCV活性評価系には患者血清が使用されているのが現状である。そこで本研究は、長鎖RNA発現系RNA pol Iを搭載したAdベクターを用いて、HCVゲノムを肝臓で発現可能なベクターを開発し、新たな抗HCV活性評価系を構築するとともに、本系を用いてmiRNAおよびHCV受容体の発現制御に基づくC型肝炎新規治療法を開発することを目的とする。
研究方法
アデノウイルス(Ad)ベクターのE1欠損領域に、HCVレプリコン発現カセットを搭載したAdベクターを開発した。本AdベクターをHuh-7細胞およびiPS細胞由来肝細胞に作用させ、HCVレプリコンを発現可能か検討した。また、miR-122aを阻害可能なタフデコイRNA発現Adベクターを作製し、HCVレプリコン発現細胞に作用させ、HCVレプリコンを抑制可能か検討した。
結果と考察
作製したHCVレプリコン発現AdベクターをHuh-7細胞およびヒトiPS細胞由来肝細胞に作用させたところ、HCVレプリコン量の発現を確認した。また、miR-122aを阻害可能なタフデコイRNA発現AdベクターをHCVレプリコン発現細胞に作用させ、抗HCV活性を評価した。その結果、タフデコイRNA発現Adベクターの作用量依存的に、HCVレプリコンを抑制可能であることが示された。また実際にHCVレプリコン量を定量的RT-PCRにより検討したところ、HCVレプリコン量も有意に減少していた。
結論
本研究で開発したmiR-122aをノックダウン可能なAdベクターは、高効率にHCVレプリコンを抑制可能であった。Adベクターは肝臓に高い親和性を有することを考慮すると、本Adベクターは有効なC型肝炎治療薬になるとともに、in vivoにおけるmiR-122aの機能解析にも応用可能である。また、HCVレプリコン発現Adベクターは、様々な細胞に高効率にHCVレプリコンを発現可能であることから、HCV感染評価系の構築に向けて極めて有用な基盤技術になるものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2012-06-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201125029Z