文献情報
文献番号
201125026A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎ウイルス感染における自然免疫応答の解析と新たな治療標的の探索に関する研究
課題番号
H22-肝炎・一般-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
松浦 善治(大阪大学 微生物病研究所)
研究分担者(所属機関)
- 考藤 達哉(大阪大学 大学院医学系研究科)
- 竹内 理(大阪大学 微生物病研究所 )
- 藤田 尚志(京都大学 ウイルス 研究)
- 池田 正徳(岡山大学 大学院医 歯薬学総合研究)
- 土方 誠(京都大学 ウイルス研究所)
- 小原 道法(東京都臨床医学総合研究所)
- 瀬谷 司(北海道大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
46,624,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
C型肝炎ウイルス(HCV)による自然免疫や獲得免疫の回避機構を解析し、これらの成果を新しい治療法の開発に資することを目的とする。
研究方法
1)miR-122を種々の細胞株に導入しHCVccの感受性を検討した。2)TAB2およびTAB3を欠損するマウスを作製した。3)IDOの活性をC型慢性肝炎患者の血清で定量した。4)ウイルスに対する自然免疫応答を制御している蛋白質群を解析した。5)不死化肝細胞の自然免疫関連遺伝子の発現を抑制してウイルス感受性を検討した。6)制限酵素の切断パターンによる IL28BのSNP判定法を検討した。7)polyI:Cとカチオニックリポソームの複合体をキメラマウスに投与してIFNの誘導を解析した。8)DExD/H box 型ヘリケースであるDDX60 の抗ウイルス機能を解析した。
結果と考察
1)miR-122を発現させたHep3B細胞はHCVccに対して高い感受性を示した。2)AB2とTAB3を欠損させたマクロファージはRIG-Iの応答性が著明に減弱していたが、TLR刺激に対する応答は正常であった。3)C型慢性肝炎患者では血清中のKyn濃度が有意に高値であった。4)RIG-Iの凝集体は様々なストレスによって誘導されることが明らかとなった。5)肝細胞の自然免疫機構を解明するためには平立体培養が重要であることが示された。6)制限酵素の切断パターンによる IL28BのSNP判定法が可能となった。7)polyICリポソーム製剤は有望な抗HCV治療薬となりうることが示唆された。8)自然免疫系に関与するDExD/H box RNAヘリケースを同定した。
結論
miR-122を発現させることによりHCVの新規感受性細胞株を樹立した。宿主のセンサー分子は能動的に凝集体を形成してウイルスRNA を感知することが明らかとなった。TAB2とTAB3がRIG-Iシグナルにおいて重要な役割を果たしており、IPS-1経路の増幅因子としてDDX60を同定した。樹状細胞におけるIDOの発現がPEG-IFNα/リバビリン療法の治療効果へ関与することが示された。制限酵素を用いた簡便なIL28B近傍の一塩基多型の判定法を開発した。polyI:Cとカチオニックリポソームの複合体がヒト肝細胞でIFNβでなくIFNλを誘導することを見いだした。
公開日・更新日
公開日
2012-04-16
更新日
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