文献情報
文献番号
201125017A
報告書区分
総括
研究課題名
B型慢性肝炎に対する新規逆転写酵素阻害剤テノホビルの有効性・安全性に関する検討
課題番号
H22-肝炎・一般-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
三田 英治(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター) 消化器科)
研究分担者(所属機関)
- 八橋 弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター)
- 中牟田 誠(独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター) 消化器科)
- 鈴木 義之(虎の門病院 肝臓科)
- 宇都 浩文(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 健康科学専攻人間環境学講座消化器疾患・生活習慣病学)
- 柘植 雅貴(広島大学自然科学研究支援開発センター生命科学実験部門)
- 今井 康陽(市立池田病院)
- 加藤 道夫(独立行政法人国立病院機構南和歌山医療センター)
- 太田 肇(独立行政法人国立病院機構金沢医療センター 消化器科)
- 正木 尚彦(国立国際医療研究センター国府台病院消化器科)
- 肱岡 泰三(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター)
- 島田 昌明(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 消化器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
41,118,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
B型慢性肝炎に対する治療ガイドラインで、ラミブジン耐性例に対して日本ではアデホビルの併用しか選択肢がなく、併用開始から2年経過してもHBV-DNAが4 log copies/mL未満に低下しない症例が20~30%存在する。このような反応不良例から両剤耐性化例を経験するが、rescueする手段がなく、解決すべき問題である。そこで本研究は核酸アナログ多剤反応不良もしくは耐性例に対するテノホビルの有効性と安全性を検証することを目的とする。
研究方法
ラミブジン耐性に対し、アデホビルを併用し、2年間経過してもHBV-DNAが4 log copies/mL未満にならないB型慢性肝疾患を対象として、アデホビルをテノホビルへ切り替えた時の抗ウイルス効果を検討した。主な条件・除外項目は以下の通りである。(1) HBe抗原の有無は問わない、(2) 肝細胞癌はない、もしくは良好にコントロールされている、(3) ALT値も問わない、(4) 他の肝疾患が否定されている、(5) HIV感染がない、(6) 腎機能が正常。
結果と考察
対象は男性9例、女性7例、またHBe抗原陽性14例、陰性2例の計16例で、年齢の中央値は55歳、アデホビルの併用期間の平均は51ヶ月であった。HBV genotypeは全例がgenotype Cであった。臨床診断は慢性肝炎が12例、肝硬変が4例で、テノホビル切り替え時のHBV-DNAの中央値は4.5 log copies/mLであった。これら反応不良例に対し、アデホビルをテノホビルに切り替えたところ、HBV-DNAが2.1 log copies/mL未満になる頻度は切り替え後3ヶ月目では16例中8例(50.0%)、6ヶ月目では16例中13例(81.3%)であった。アデホビルの併用期間が4~5年以上の長期反応不良例に対しても、テノホビルへの切り替え効果は良好であった。テノホビルへの切り替え時の薬剤耐性変異をINNO-LiPA法で検討したところ、L180およびM204のラミブジン耐性は高頻度に認めたが、アデホビルの変異は認めなかった。
結論
ラミブジン耐性でアデホビルを併用し、抗ウイルス効果が不良のB型慢性肝炎書例に対し、アデホビルをテノホビルに切り替えた場合の抗HBV効果は良好であった。特に併用期間が長期でも速やかに抗ウイルス効果を認めた。
公開日・更新日
公開日
2012-06-29
更新日
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