文献情報
文献番号
201125016A
報告書区分
総括
研究課題名
膜蛋白質発現系を利用したC型肝炎ウイルス感染受容体の生化学的・疫学的解析及び感染阻害剤の開発
課題番号
H21-肝炎・若手-016
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
阿部 康弘(独立行政法人医薬基盤研究所 創薬基盤研究部)
研究分担者(所属機関)
- 近藤 昌夫(大阪大学大学院 薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
4,714,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
周知のように、C型肝炎治療の基本戦略の第一は肝細胞中のC型肝炎ウイルス(HCV)を排除すること、第二はHCVの新規感染を阻害することにある。現在までに、HCV排除活性を有するインターフェロン療法の進歩により、C型肝炎の奏効率は50%まで改善されているものの、重篤な副作用も報告されており、耐性ウイルスの出現、高ウイルス量患者には効果が乏しいことから、HCV感染阻害薬、感染受容体アンタゴニストの創出が急務となっている。しかしながら、HCV感染受容体をintactな状態で精製するのが困難なこと、抗原性が低く細胞外領域に対する抗体の作製に成功した例が少ないことから、HCV感染機構の生化学的解析は遅々として進展していない。そこで本研究は、1)出芽バキュロウイルス(BV)膜蛋白質発現系を利用した感染受容体の生化学的解析によりHCV感染機構を詳細評価し、2)独自のアンタゴニスト創出技術を活用して作製したHCV感染受容体アンタゴニストを創出することを目的とする。
研究方法
本年度は、SR-BI、CD81、claudin-1、occludinを複数同時に提示するBVの作製し、HCV感染受容体の生化学的解析に供した。また、HCV感染受容体アンタゴニストの創出を目的に、claudin提示BVを免疫したclaudin欠損マウスを用いてscFv提示ファージライブラリを作製し、claudin-1結合性scFv提示ファージのスクリーニングを行った。
結果と考察
各感染受容体提示BVについて高タイターBVを調整、共感染させることで2?4種類のHCV受容体を同時に提示したBVの作製に成功した。続いて、感染阻害活性を解析したところ、いずれのBV処理でもHCVpvの侵入促進効果が認められた。さらに、scFv提示ファージライブラリを用いてスクリーニングを行うことで、claudin-1結合性ファージクローンを単離・同定することに成功した。
結論
作製したHCV感染受容体発現BVを用いることで、HCV感染機構の解析及びHCV感染受容体に対するアンタゴニストの創製が期待される。
公開日・更新日
公開日
2012-05-08
更新日
-