文献情報
文献番号
201125014A
報告書区分
総括
研究課題名
骨髄および脂肪由来細胞を用いた次世代型肝臓再生・修復(抗線維化)療法の開発研究
課題番号
H21-肝炎・一般-014
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
坂井田 功(山口大学 大学院医学系研究科 消化器病態内科学分野)
研究分担者(所属機関)
- 宮島 篤(東京大学分子細胞生物学研究所 発生・再生研究分野)
- 仁科 博史(東京医科歯科大学 難治疾患研究所 発生再生生物学分野)
- 寺井 崇二(山口大学 大学院医学系研究科 消化器病態内科学)
- 齋藤 貴史(山形大学医学部第二内科(消化器病態制御内科学分野))
- 梅村 武司(信州大学医学部第二内科(消化器内科学))
- 大河内 仁志(国立国際医療研究センター 細胞組織再生医学研究部)
- 酒井 佳夫(金沢大学医薬保健研究域医学系 血液情報統御学 消化器内科学)
- 小川 佳宏(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 分子内分泌代謝学分野)
- 高見 太郎(山口大学医学部附属病院 検査部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
43,793,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
申請者らは「肝硬変症に対する自己骨髄細胞投与療法(ABMi療法)」の臨床的有効性を世界に先駆けて報告してきた。現行の内科的な治療法では改善が見込めない肝硬変症患者を救命するためには、肝移植に代わる肝再生療法を早急に開発する必要がある。このABMi療法の本質は、肝線維化改善と肝再生の両方からなる肝硬変症に対する再生修復療法と考えられる。肝硬変症に陥った肝臓を効率的に再生・修復させるためには、投与した自己骨髄ないし脂肪組織由来細胞と様々な肝臓構成細胞との相互作用を解明するための基礎研究が必要であり、また臨床研究を行うための準備を行う。
研究方法
免疫不全肝硬変マウスへのヒト骨髄由来培養細胞投与による肝線維化抑制効果を認め、間葉系マーカー陽性細胞が高濃度であった。
今までの基礎研究から臨床応用への実績を踏まえて、非代償性肝硬変症患者救済のための新たな次世代型肝臓再生修復(抗線維化)療法を開発するために、国立国際医療研究センターにおいて、HIV合併C型肝硬変症に対するABMi療法を、2010年12月に「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」の承認をうけ、2011年3月より開始し、現在までに2例に施行した。
今までの基礎研究から臨床応用への実績を踏まえて、非代償性肝硬変症患者救済のための新たな次世代型肝臓再生修復(抗線維化)療法を開発するために、国立国際医療研究センターにおいて、HIV合併C型肝硬変症に対するABMi療法を、2010年12月に「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」の承認をうけ、2011年3月より開始し、現在までに2例に施行した。
結果と考察
基礎研究において、ヒト骨髄由来培養細胞投与による肝線維化抑制効果を確認し、その細胞群には、間葉系マーカー陽性細胞が高濃度に含まれていた事が判明した。HIV合併C型肝硬変症に対するABMi療法は、2010年12月に「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」の承認をうけ、2011年3月より開始し、現在までに2例に施行しており、また、「C型肝炎ウイルスに起因する肝硬変患者に対する自己骨髄細胞投与療法の有効性と安全性に関する研究」というランダム化比較試験の研究計画に関して、ヒト幹細胞臨床研究に関する審査委員会等の承認を受けた。ABMi療法の有効性・安全性をより高いエビデンスレベルで検証する準備が進んだ。
結論
基礎研究により、ヒト骨髄由来培養細胞に含まれる間葉系マーカー陽性細胞が肝線維化抑制効果に効率的に働いている可能性が示唆され、また、臨床研究を行うための準備が進んだことは、現行の内科的な治療法では改善が見込めない肝硬変症患者を救命するためのABMi療法の開発に寄与すると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2012-06-01
更新日
-