文献情報
文献番号
201125013A
報告書区分
総括
研究課題名
B型肝炎の母子感染および水平感染の把握とワクチン戦略の再構築に関する研究
課題番号
H21-肝炎・一般-013
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
森島 恒雄(国立大学法人 岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 脇田 隆字(国立感染症研究所 その他部局等)
- 森内 浩幸(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
- 工藤 豊一郎(筑波大学 大学院人間総合科学研究科)
- 茶山 一彰(広島大学 大学院医歯薬学総合研究科)
- 泉 並木(武蔵野赤十字病院 消化器科)
- 木村 宏(名古屋大学 大学院医学系研究科)
- 古谷野 伸(旭川医科大学 医学部)
- 田尻 仁(大阪府立急性期総合医療センター 小児科)
- 田中 英夫(愛知がんセンター研究所 疫学 予防部)
- 藤澤 知雄(済生会横浜市東部病院 こどもセンター)
- 石井 勉(国立病院機構福島病院 小児科)
- 乾 あやの(済生会横浜市東部病院 こどもセンター)
- 内田 茂治(日本赤十字社血液事業本部中央血液研究所 感染症解析部)
- 三鴨 廣繁(愛知医科大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
20,097,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
B型肝炎ウイルス(HBV)キャリアの母親から出産した児に対するHBIGとHBVワクチンによる母児感染予防は、大きな成果を挙げてきた。しかし、近年不十分な予防措置が目立ち、また家族内感染など出生後の水平感染も続いている。一方、成人においてgenotype Aによる感染拡大がみられ、新規感染者の増大傾向が大きな問題となっている。本研究においてこれらの問題点を明らかにし、WHOが推薦し多くの国々が実施しているuniversal vaccination(以下UV)の必要性の有無について検討することを目的とした。
研究方法
今年度は(1)世界各国におけるUVの現状把握、(2)HBV母子感染全国調査の中で特に水平感染の現状調査、(3)小児期の水平感染における感染ルート特に体液の感染力の調査、(4)成人におけるHBVの新規感染者の疫学調査、(5)新生児期からのHBVワクチン接種の抗体獲得の検討などを実施した。
結果と考察
(1)WHOもHBVワクチンのUVを推奨しているが、特にヨーロッパ・アジア・北米など多くの国でUVが実施されていた。(2)全国調査では、HBVの水平感染では約25%に認められ、また大阪府の調査では41%と高く父子感染・その他の家族内感染などが多かった。(3)血液中のHBVDNAが多い小児のキャリアにおいて血液以外の体液特に唾液・涙・汗に感染力を持つHBVDNAが認められ、水平感染を考える上で重要な結果と思われた。(4)成人において毎年6000-8000人の新規感染者が推定され、成人を含めた感染対策の重要性が示された。(5)国際的に実施されている新生児期からのHBVワクチンの接種スケジュールで、十分な抗体価の獲得が示された。
以上から、UVの実施はわが国でも重要な課題であると考える。
以上から、UVの実施はわが国でも重要な課題であると考える。
結論
(1)現在の予防対策の問題点を示し、改善策を示した。
(2)小児のHBVキャリアから見た水平感染の重要性を示すことができた。
(3)世界的に実施され、WHOが推奨しているUVのわが国への導入について、①母児感染予防が完全ではなく、②水平感染も多く存在し、③成人における年間の新規感染者成人で非常に多数存在するなど全年齢層においてHBV感染予防をすることが必要であり、一方④仮にUVをわが国で実施した場合、HBVワクチン接種開始時期として重要と思われる新生児期からの接種で、良好な抗体上昇が確認された。
(2)小児のHBVキャリアから見た水平感染の重要性を示すことができた。
(3)世界的に実施され、WHOが推奨しているUVのわが国への導入について、①母児感染予防が完全ではなく、②水平感染も多く存在し、③成人における年間の新規感染者成人で非常に多数存在するなど全年齢層においてHBV感染予防をすることが必要であり、一方④仮にUVをわが国で実施した場合、HBVワクチン接種開始時期として重要と思われる新生児期からの接種で、良好な抗体上昇が確認された。
公開日・更新日
公開日
2012-06-01
更新日
-