文献情報
文献番号
201125007A
報告書区分
総括
研究課題名
血小板低値例へのインターフェロン治療法の確立を目指した基礎および臨床的研究
課題番号
H21-肝炎・一般-007
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
西口 修平(兵庫医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 有井 滋樹(東京医科歯科大学 医学部)
- 山本 和秀(岡山大学 医学部)
- 工藤 正俊(近畿大学 医学部)
- 日野 啓輔(川崎医科大学 医学部)
- 河田 則文(大阪市立大学 医学部)
- 八橋 弘(国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター)
- 福井 博(奈良県立医科大学 医学部)
- 上田 佳秀(京都大学 医学部)
- 内村 直尚(久留米大学 医学部)
- 井出 達也(久留米大学 医学部)
- 古庄 憲浩(九州大学 医学部)
- 冨山 佳昭(大阪大学 医学部)
- 柏木 徹(兵庫医科大学 医学部)
- 渡辺 恭良(独立行政法人理化学研究所 分子イメージング科学研究センター)
- 筒井 ひろ子(兵庫医科大学 医学部)
- 池田 一雄(大阪市立大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
17,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
C型慢性肝疾患の血小板数低値例に対して、血小板数増多によるIFN治療完遂率の向上を期待して脾摘やPSEが行なわれている。しかし、血小板低値例に対するIFN治療の我が国での実態、血小板対策の処置(脾摘またはPSE)とIFN治療の有効性の関連性等についての詳細な検討は行われていない。本年度は研究の最終年度であり、班員の臨床研究の成果の最終集計を行うとともに、アンケート調査や個別研究などにより3年間で集積した全ての成績をもとに血小板低値例に対する治療ガイドラインを策定することを目標とする。
研究方法
当研究班の班員から集めた1363症例(SVR判定可能症例1291症例)のC型慢性肝疾患について臨床成績を集計する。さらに、3年間の研究成果と文献検索によって得られたEBMを踏まえて、班員が分担して血小板低値例に対する診療ガイドラインと治療のディシジョンツリーの試案を作成する。作製されたガイドラインは、パブリックコメントとして肝臓専門医の意見を聞き、必要な個所については修正を加える。
結果と考察
班員の施設から集積された1352例中血小板数10万以上の症例は829例であり、この中で826例 (99.6 %)は特別な処置無しでIFNが導入されていた。血小板数10万未満の症例は523例であり脾摘149例(28.5%)、PSE 19例(4.3%)、ピロリ菌除菌1例が行われ、特別な処置無しでIFNが導入されたのは354例(67.7 %)であった。血小板数8万未満でIFN投与のアドヒアランスの低下とSVR率の低下が顕著であった。脾摘、PSEによってアドヒアランス改善が見られたが、1b高ウイルス量症例では処置を行ってもSVR率の増加は認めなかった。とくに、血小板数8万未満・1b高ウイルス量例に脾摘後PegIFN+RBV治療を行っても、Core70が変異型、ISDRが野生型、IL28がマイナーアリル(TG+GG)の3条件の内、1つでも存在すればSVRは得られず、PEG-IFN+RBV治療の限界が感じられた。これらの成果をもとに、血小板低値例に対するガイドラインを作成した。
結論
脾摘・PSEは血小板数8万未満に限定すべきであり、さらに1b高ウイルス量症例では処置によるアドヒアランスの改善がSVR率の向上に結び付かない。このためIFN治療目的の脾摘、PSEの実施はHCVと生体側の条件を厳密に検討し,対象を制限すべきである。
公開日・更新日
公開日
2012-06-01
更新日
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