HLA発現ヒト免疫構築マウスにおけるHIV-1特異的CTLの誘導とその機能解析

文献情報

文献番号
201124036A
報告書区分
総括
研究課題名
HLA発現ヒト免疫構築マウスにおけるHIV-1特異的CTLの誘導とその機能解析
課題番号
H23-エイズ・若手-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 益満(国立大学法人 熊本大学 エイズ学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 義則(国立大学法人 熊本大学 エイズ学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
9,760,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒト免疫システムからの逃避変異HIV-1の出現とその蓄積による慢性感染など、HIV-1が感染時にヒト生体内で引き起こされる現象をヒト免疫構築マウスで解析する。
研究方法
NOK/B51Tg マウスでヒト免役反応を解析するためには、ヒト造血幹細胞に発現するHLAとNOK/B51Tg マウスに発現するHLAを一致させる必要がある。そこでHLA-B*5101遺伝子発現レンチウィルスベクターを用いてHLA-B*51陽性ヒト造血系幹細胞の樹立を行い、NOK/B51Tgマウスに移植した。その後、NOK/B51Tgマウスより末梢血を採取し、ヒトT細胞の再構築を確認した。 またHLA-B*51を発現するヒトT細胞の存在をレンチウィルスベクターにコードされている蛍光タンパク質をマーカーとして用いて検討を行った。
単一T細胞からのTCR遺伝子同定法を用いて、HLA-B*5101陽性HIV-1感染者由来のCTLクローンからHIV-1 TAFTIPSIエピトープを認識するTCR遺伝子の同定を行った。
結果と考察
約5%のHLA-B*51陰性ヒト造血幹細胞においてHLA-B*51の発現を検出したが、移植した4匹のNOK/B51TgマウスにおいてHLA-B*51陽性ヒトT細胞の存在を検出することは出来なかった。その理由がヒト造血幹細胞におけるレンチウィルスの感染効率が低いためであると考えられる。
6人のHLA-B*5101陽性HIV-1感染者からHIV-1 TAFTIPSI 特異的CTLクローンを樹立し、そのTCR遺伝子の発現解析を行った。その結果、感染者間で高い類似性を示すTCRの発現を明らかにした。
結論
HIV-1感染に対するヒト免疫反応をマウスで解析するために、HLAを一致させたNOK/B51Tgマウスの作製とHLA-B*51陽性ヒト造血幹細胞の樹立を行ったが、その樹立法が不十分であったために、HIV-1感染に対するヒト免疫反応を解析することが出来なかった。HLA-B*51陽性ヒト造血幹細胞の樹立法の再検討が必要である。6人のHLA-B*5101陽性HIV-1感染者から樹立されたCTLクローン間において、HLA-B*51に提示されるTAFTIPSIエピトープを認識するCTLに発現するTCR遺伝子が非常に高い類似性を示すことを明らかにしたは、ヒト免疫構築マウスにおける逃避変異型HIV-1の誘導に非常に有用であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201124036Z