霊長類ゲノム情報を利用した抗エイズウイルス自然免疫因子の探索およびその新規エイズ治療法への応用

文献情報

文献番号
201124027A
報告書区分
総括
研究課題名
霊長類ゲノム情報を利用した抗エイズウイルス自然免疫因子の探索およびその新規エイズ治療法への応用
課題番号
H22-エイズ・若手-007
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
武内 寛明(東京医科歯科大学・医歯学総合研究科 ウイルス制御学分野)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
7,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
当該研究では、SIVが「種の壁」を乗り越えてヒトへ感染伝播する際に関わる自然免疫因子(群)およびHIV感染制御ヒト宿主因子(群)を同定することにより、新規エイズ治療法に向けての基盤確立に寄与すること、および今後の新興感染症に対するヒト宿主防御機構に対する理解を深めることが目的である。
研究方法
(1)単独shRNA発現T細胞株の樹立:HIV感染増殖効率が著しく低下している細胞群(semi-clonal population)の中で、6種のshRNAが混在している細胞群について、各々のshRNA単独発現T細胞株を樹立した。
(2)HIV-1感染効率の解析:(1)で樹立した各T細胞株に、Luciferase発現HIV-1を感染させ、24時間後のluciferase活性を測定した。
(3)HIV-1感染細胞内におけるウイルスDNA合成量の解析:(2)で樹立した各T細胞株にHIV-1 (NL4-3株)を感染させ、24時間後の感染細胞内で、逆転写反応を経て合成されたウイルスDNA量について、polおよびenvの各領域におけるリアルタイムPCR法にて測定した。

結果と考察
(1)HIV-1感染制御因子候補群から単一機能遺伝子発現抑制T細胞群を順次樹立
し、HIV-1感染効率が著しく低下している複数の細胞群の中で、6種のHIV-1感染制御候補因子群が
混在している細胞群について、単一機能発現抑制T細胞群を6種各々樹立した。(2)(1)で樹立し
た単一機能発現抑制T細胞群を用いてHIV-1感染実験を行った結果、6種類のうち2種類のT細胞株に
おいて感染効率の顕著な低下が認められた。この2種の宿主因子のHIV-1感染に対する作用機序につい
この2種の解析を進めたところ、1つはHIV-1の細胞侵入時に影響をおよぼし、もう1つはHIV-1の細胞侵入後
の逆転写反応に影響をおよぼすことが明らかとなった。また、それ以外の4種についてもHIV-1感染
効率が50%以上低下することが明らかとなった。
 以上より、当該研究事業2年目の目標をほぼ予定通り達成出来、それ以上の成果も得られたと考え
られる。
結論
当該研究事業を2年間遂行した結果、機能遺伝子発現抑制T細胞ライブラリーの樹立に成功し、HIV感染制御宿主因子候補群を多数見出す事が出来た。その中で新たなHIV感染制御機構を持つ宿主因子の存在を見出す事が出来た。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201124027Z