国内で流行するHIV遺伝子型および薬剤耐性株の動向把握と治療方法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201124023A
報告書区分
総括
研究課題名
国内で流行するHIV遺伝子型および薬剤耐性株の動向把握と治療方法の確立に関する研究
課題番号
H22-エイズ・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
杉浦 亙(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター 感染・免疫研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 田中靖人(公立大学法人名古屋市立大学大学院医学研究科・肝臓病学)
  • 桑原健(独立行政法人国立病院機構南京都病院・臨床薬学)
  • 佐藤典宏(北海道大学病院 高度先進医療支援センター・血液内科学)
  • 貞升健志(東京都健康安全研究センター 微生物部)
  • 南留美(独立行政法人国立病院機構九州医療センター免疫感染症科臨床研究部・内科)
  • 近藤真規子(神奈川県衛生研究所微生物部)
  • 藤井毅(東京大学医科学研究所附属病院感染免疫内科、感染症、内科学、呼吸器内科学・HIV感染症)
  • 白阪琢磨(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター・臨床研究センターエイズ先端医療研究部)
  • 石ヶ坪良明(横浜市立大学大学院医学研究科病態免疫制御内科学・膠原病,リウマチ,感染症)
  • 潟永博之(国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター・HIV感染症)
  • 加藤真吾(慶応義塾大学医学部微生物学・免疫学教室・ウィルス学)
  • 西澤雅子(国立感染症研究所エイズ研究センター・ウィルス学)
  • 松下修三(熊本大学エイズ学研究センター・血液学)
  • 巽正志(国立感染症研究所エイズ研究センター ・ウィルス学)
  • 椎野禎一郎(国立感染症研究所感染症情報センター、感染症の分子進化学的解析)
  • 上野貴将(熊本大学エイズ学研究センター・感染免疫学)
  • 健山正男(琉球大学大学院医学研究科 感染症・呼吸器・消化器内科学)
  • 森治代(大阪府立公衆衛生研究所・ウイルス学)
  • 太田康男(帝京大学医学部・内科学)
  • 田邊嘉也(新潟大学医歯学総合病院第二内科)
  • 伊藤俊広(独立行政法人国立病院機構仙台医療センター血液内科・血液内科/HIV感染症)
  • 上田幹夫(石川県立中央病院 免疫感染症科・血液内科)
  • 内田和江(埼玉県衛生研究所・ウイルス担当)
  • 木村昭郎(広島大学原爆放射線医科学研究所・血液内科学)
  • 福武勝幸(東京医科大学医学部臨床検査医学科・血液学・輸血学・臨床検査医学・感染免疫学)
  • 佐藤武幸(千葉大学医学部附属病院感染症管理治療部・感染症)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
94,524,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国における薬剤耐性HIVの発生動向とその分子疫学を明らかにし、それを踏まえて薬剤耐性HIV発生の予防法と薬剤耐性症例の治療法を立案することを目的とする。
研究方法
(1)薬剤耐性動向調査研究:新規にHIV/AID診断症例を対象にプロテアーゼ、逆転写酵素インテグラーゼ各領域の遺伝子配列解析を行う。
(2) 新規HIV/AIDS診断症例の疫学研究:サブタイピング、感染時期の推測、高感度検出法による微少薬剤耐性集属の検出、合併する肝炎等の調査に取り組む。
(3) 薬剤耐性検査の質的管理研究:自施設で薬剤耐性検査を実施している機関に試験サンプルを送付し外部精度管理を行う。
(4) 薬剤血中濃度モニタリング研究:至適治療の為に血中濃度測定検査の提供と関連する研究に取り組む。
(5) 情報統合・分析研究:データベースの構築、HPを介しての情報提供さらには調査研究データの分析に取り組む。
結果と考察
本年度は569症例の新規HIV/AIDS診断症例の遺伝子配列が収集された。52例(9.2%)の薬剤耐性症例が同定され、うち2例は多剤耐性症例であった。観察された変異は過去に使用された薬剤によるものが多く、今日使用頻度が高い薬剤に対する耐性変異はほとんど観察されない。また毎年一定の頻度で必ず観察される耐性変異があり、このような変異を有するHIV株は既に流行株として感染が拡大していると考えられる。HBVの合併率は8.1%、HCVの合併率は2.7%であった。高感度薬検出法では薬剤耐性検出頻度が1.5倍に増加し、薬剤耐性HIVの伝播が予想よりも広がっていると推測された。本年度の血中濃度測定検査数は949件であり、HPアクセス数(13344件)パスワード取得者(218名)ともに増加した。ベイズ法に基づくネットワーク解析の結果subtype BとCRF01_AEの感染症例がそれぞれscale-free networkを形成していることが確認されたが、これはHIV感染予防介入を考察する上で重要な情報である。外部精度管理はいずれの施設も成績が素晴らしく、国内何処でも同質の検査が受けられる事が確認できた。
結論
新規HIV/AIDS診断症例および関連する基礎的•臨床的研究に取り組み、感染者の疫学的背景、薬剤耐性、合併肝炎等の我が国におけるHIV感染症の動向を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201124023Z