HIVの構造、増殖、変異に関する研究

文献情報

文献番号
201124022A
報告書区分
総括
研究課題名
HIVの構造、増殖、変異に関する研究
課題番号
H22-エイズ・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 裕徳(国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 梁 明秀(横浜市立大学 医学部微生物学)
  • 野間口 雅子(徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 村上 努(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
  • 塩田 達雄(大阪大学微生物病研究所 感染機構研究部門)
  • 増田 貴夫(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 間 陽子(理化学研究所 分子ウイルス学特別研究ユニット)
  • 岡本 尚(名古屋市立大学大学院 医学研究科)
  • 岩谷 靖雅(国立病院機構 名古屋医療センター)
  • 本村 和嗣(国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
47,940,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
実験とシミュレーション技術を併用して、HIVの構造、増殖、変異に関わる基礎ウイルス学研究を実施する。得られた知見を論文等で公開する。これにより、エイズの病原体に関わる新知見を広く速やかに発信する情報プラットフォームとしての役割を果たす。
研究方法
HIVの増殖能の測定は、培養細胞系を用いた。HIV分子、並びにHIV増殖制御因子の構造と機能の解析は、シミュレーション技術(ホモロジーモデリング法、分子動力学法など)と実験的手法(X線結晶構造解析法、変異導入解析法など)を併用した。HIVの変異の解析は、新型シークエンサーとバイオインフォマティクスの諸技術を用いた。
結果と考察
(1)HIVの構造と複製機構に関する研究:HIV増殖阻害剤の開発基盤となる以下の新知見を得た。①抗HIV分子テザリンのVpu感受性、HIV-2カプシドのTrim5α感受性、HIV-1 逆転写酵素によるGag-Pol前駆体プロセシング制御等を司る構造特性(佐藤)、②APOBEC3C(A3C)蛋白質の全構造 (PDB#:3VM8)(岩谷)、③Gemin2によるHIV-1インテグラーゼの機能的な多量体形成の促進(増田)、④HIV-1 Vpr によるUBE2C遺伝子の発現制御(間)、⑤HIV-1 Tatの転写活性化に関わるCycT1領域(岡本)、⑥TRIM5αの多型による抗HIV-1効果の変動(塩田)、⑦抗HIV-1活性をもつGag MA、CA蛋白質部分ペプチド(村上)、⑧SCYL2によるテザリン抗HIV活性の促進(梁)。(2)HIVの宿主域に関する研究:HIV感染の霊長類動物モデルの開発基盤となる以下の成果を得た。既知の抗HIV因子を全て回避し、サル指向性が増強したHIV-1の構築に成功した(野間口)。(3)HIVの構造、変異、中和逃避機構に関するバイオインフォマティクス研究:HIVワクチンの開発基盤となる以下の成果を得た。gp120サブユニットのV3ループは、gp120蛋白質の相互作用表面の構造と揺らぎを制御する“electrostatic modulator”として機能することを見出した(佐藤)。
結論
研究成果をウイルス学、薬剤治療、疫学、酵素学などの専門誌に公表した(計34報)。これによりエイズの病原体の構造と性質に関わる新知見を発信する情報プラットフォームとしての役割を果たした。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201124022Z