HIV感染症に合併するリンパ腫発症危険因子の探索と治療法確立に向けた全国規模多施設共同研究の展開

文献情報

文献番号
201124021A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症に合併するリンパ腫発症危険因子の探索と治療法確立に向けた全国規模多施設共同研究の展開
課題番号
H22-エイズ・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 誠治(熊本大学 エイズ学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 渡邉 俊樹(東京大学 大学院新領域創成科学研究科メディカルゲノム専攻)
  • 味澤 篤(東京都立駒込病院 感染症科)
  • 永井 宏和(国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター)
  • 藤原 成悦(国立成育医療研究センター研究所 母児感染研究部)
  • 照井 康仁(癌研究会癌研有明病院 血液腫瘍科)
  • 片野 晴隆(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 田沼 順子(国立国際医療研究センター エイズ治療研究開発センター)
  • 萩原 將太郎(国立国際医療研究センター 血液内科)
  • 上平 朝子(国立病院機構大阪医療センター 感染症内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
29,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、現在エイズ患者の長期予後を最も脅かしているエイズ関連悪性リンパ腫の予防と根治療法の開発を目標として、病態解析に基づいた日本人に最適化したエイズリンパ腫治療法の確立である。
研究方法
柱1 日本人悪性リンパ腫治療最適化に関する研究
 エイズリンパ腫は予後不良であり、海外で開発されたエイズリンパ腫治療プロトコールは、必ずしも日本人に適したものではない。そこで、エイズ関連悪性リンパ腫の日本人に最適化された標準的治療法の確立を目指す。そのために本邦におけるエイズリンパ腫の現状把握と全国規模多施設共同臨床試験を行い、エイズリンパ腫治療の標準化と病因解明を目指す。また、「エイズ関連非ホジキンリンパ腫治療の手引き」を順次改定し、エイズリンパ腫に対する標準的治療と認識の普及に努める。
柱2 エイズリンパ腫発症危険因子の探索と新規治療薬の開発
 エイズリンパ腫は、病理診断が困難であり、病理診断と臨床像が乖離している場合がある。そのため、病理診断用のフローチャートを作成し、既存の症例についてレビューを行う。収集検体からmiRNA, DNAを抽出し、症例ごとのmiRNAの発現プロファイルを明らかにして、miRNA発現による新たな病型分類を行い、リンパ腫の病因解明につなげる。リンパ腫発症者の血清を解析し、リンパ腫の早期マーカーと高リスクグループの同定を試みる。また、エイズリンパ腫発症マウスモデルを用いて、発症機序の解明と発症予防法開発の糸口をつかむ。
結果と考察
1)本邦におけるホジキン病の現状を分析し論文にまとめた。2)エイズリンパ腫に対する2つの全国規模多施設共同臨床研究を継続し、新たにエイズバーキットリンパ腫に対する臨床試験を計画している。3)エイズリンパ種病理診断ワーキンググループにより、診断フローチャートを作成した。4)エイズリンパ腫治療の手引きを改訂した。4)miRNAによるエイズリンパ腫発症機序の解明を行っている。5)エイズリンパ腫発症モデルに使用する新たな高度免疫不全マウスを樹立した。6)リンパ腫の早期マーカーとしてsCD30, TRIM68に注目し、血清の解析を行っている。これらの研究を統合して、本邦におけるエイズリンパ腫の克服を目指している。
結論
エイズリンパ腫の病因解明と日本人に最適化した標準的な治療法の確立と難治例・再発例への治療法の確立に向けて、基礎・病理・臨床研究者が一体となって研究を推進している。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201124021Z