高感度薬剤耐性HIV検出法を用いた微少集族薬剤耐性HIVの動態とHAART治療効果との相関についての研究

文献情報

文献番号
201124018A
報告書区分
総括
研究課題名
高感度薬剤耐性HIV検出法を用いた微少集族薬剤耐性HIVの動態とHAART治療効果との相関についての研究
課題番号
H21-エイズ・若手-019
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
西澤 雅子(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 杉浦亙(国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター 感染・免疫部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
1,041,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬剤耐性検査を行い患者血中に存在する薬剤耐性変異を把握することは効果的な抗HIV治療(ART)を行う上で重要である。一般的なダイレクトシーケンス法(従来法)は20%以下の微少集族として存在する薬剤耐性HIVを検出するのが難しいため、定量PCRを応用した高感度薬剤耐性検査法(高感度法)を用いてARTを受けた患者の微少集族薬剤耐性HIVの動態を解析し、微少集族薬剤耐性HIVがARTに及ぼす影響を解析する。
研究方法
5年以上逆転写酵素阻害剤(RTI)とプロテアーゼ阻害剤(PI)を含むARTの治療歴があり、ARTの薬剤変更・従来法による薬剤耐性変異の変化が見られた3症例(Case A, B, C)を解析対象とし、高感度法でRTI、PIに対する微少集族薬剤耐性変異の検出・動態解析を試みた。
結果と考察
PI耐性変異のM46I/Lを臨床検体で約5%以下の比率で検出可能な高感度法を開発した。またCDCで開発されたPI耐性変異のL90M検出系と今回開発したM46I/Lの3種類のPI耐性変異の微少集族を解析した。解析対象とした3症例をM46I/L検出系とL90M検出系で解析した結果、3症例全てからM46I/L、L90Mすべて、あるいはいずれかが微少集族として検出された。Case AではM46Iが従来法で検出される2か月前から既に微少集族として潜在していた。Case BではM46IとM46Lが従来法では消失した後も4?6カ月に渡り患者血中に微少集族として潜在していた。Case CではM46IとL90Mが従来法で検出される約6か月前から微少集族として潜在していた。Case Bで高感度法によって得られたM46I/L-ampliconの塩基配列を解析しM46I/Lとリンクしている耐性変異を解析した結果、M46I/L にI54V, A71Vがリンクしていた。これらの薬剤耐性変異はどれも従来法では検出されず、複数の薬剤耐性変異が微少集族として潜在していたことが示された。Case Cでは微少集族として潜在していたM46IにG48Vがリンクしており、このG48Vも微少集族として患者血中に潜在していた。
結論
これらの結果から、PI耐性変異もRTI耐性変異と同様に微少集族として数ヶ月以上に渡り潜在すること、またamplicon解析から微少集族として存在するM46I/L、L90Mにリンクする薬剤耐性変異も解析可能な事を示した。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

文献情報

文献番号
201124018B
報告書区分
総合
研究課題名
高感度薬剤耐性HIV検出法を用いた微少集族薬剤耐性HIVの動態とHAART治療効果との相関についての研究
課題番号
H21-エイズ・若手-019
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
西澤 雅子(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 杉浦 亙(国立病院機構名古屋医療センター 臨床研究センター 感染・免疫部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ダイレクトシーケンス法(従来法)による薬剤耐性検査は効果的な抗HIV治療(ART)を行う上で重要である。しかし従来法で検出できない20%以下の比率で微少集族として存在する薬剤耐性変異がARTに影響を及ぼす可能性が示唆されている。本研究では5%以下の比率で存在する微少集族薬剤耐性変異を検出可能な高感度薬剤耐性検査法(高感度法)を用いてARTを実施している患者血中の微少集族薬剤耐性変異を検出し、ARTへの影響を解析する。
研究方法
逆転写酵素阻害剤(RTI)に対する8耐性変異(M41L, K65R, K70R, K103N, Y181C, M184V, T215Y/F)、プロテアーゼ阻害剤(PI)に対する3耐性変異(M46I/L, L90M)を解析対象とし、5年以上RTIとPIを含むARTの治療歴があり、薬剤変更・従来法による薬剤耐性変異の変化が見られた6症例(Case A,B,C,D,E,F)を解析した。
結果と考察
解析した6症例全てから微少集族薬剤耐性変異が検出された。Case A, B, C, D, Fの5症例からはPI耐性変異が微少集族として検出され、従来法で検出されるよりも数ヶ月前からこれらの変異が微少集族として潜在していた。Case Dでは従来法では検出された事のないM46Lが微少集族として潜在していた。高感度法で増幅されるM46I-/M46L-ampliconの塩基配列を解析した結果、Case BではM46I/LにI54V, A71Vが、Case CではM46IにG48Vがリンクしていた。M46I/Lとリンクして存在していた耐性変異も従来法では検出されなかった。この結果から高感度法で複数の微少集族薬剤耐性変異を同時に解析可能な事が示された。Case EではRTI耐性変異のT215IとK103Nが従来法で検出される1年から3年前から微少集族として潜在していた。高感度法で増幅されたT215I/K103N-ampliconの塩基配列解析から、これらの微少集族薬剤変異は薬剤変更によって顕在化した事が明らかになった。
結論
ARTを受けている患者血中からRTI耐性変異・PI耐性変異が微少集族として数ヶ月以上に渡り潜在し、薬剤変更により顕在化してARTに影響する可能性がある事、またamplicon解析から微少集族として存在する薬剤耐性変異にリンクする薬剤耐性変異が解析可能な事を示した。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201124018C

収支報告書

文献番号
201124018Z