日和見感染症の診断/治療およびそれを端緒とするHIV感染者の早期発見に関する研究

文献情報

文献番号
201124006A
報告書区分
総括
研究課題名
日和見感染症の診断/治療およびそれを端緒とするHIV感染者の早期発見に関する研究
課題番号
H21-エイズ・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
安岡 彰(長崎大学 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 照屋 勝治(国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター)
  • 片野 晴隆(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 山本 政弘(国立病院機構九州医療センター AIDS/HIV総合治療センター)
  • 古西 満(奈良県立医科大学 感染症センター)
  • 永井 英明(国立病院機構東京病院 呼吸器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
14,256,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIVの日和見感染症の発生動向、日和見感染症の診断と治療法の開発、日和見感染症の視点からのHIV感染者の早期発見のためのデータ蓄積を行った。
研究方法
次の項目について検討した。
1)日和見合併症の動向調査
2)重点合併症の診断・治療法の開発
 (1) 免疫再構築症候群(IRIS)
 (2) 合併梅毒
 (3) 赤痢アメーバ症
 (4) サイトメガロウィルス臓器病変
 (5) トキソプラズマ脳炎の臨床的検討
 (6) カポジ肉腫
 (7) HIV合併結核
3)病院におけるHIV検査の推進のための日和見合併症の特徴
結果と考察
1)症例経験病院は40.6%と増加し、総数は588回と過去最高となった。発症疾患はニューモシスチス肺炎(PCP)が最多であった。指標疾患以外の悪性腫瘍調査では43例と急増していた。罹患率は人口10万対230.0となり、年齢調整罹患率は615.4で一般人口の1.87倍であった。
2)(1)抗酸菌によるIRISではTh1/Th2バランスが関与する可能性が示唆された。HIV臨床医のIRIS対処の動向では6年前に比べ早期導入の傾向に変化してきていた。「免疫再構築症候群 診療のポイントVer.3」を作成した。
 (2) 2240例中TPHAの陽性率は41.5%であった。
 (3) シスト駆除施行の有無では再発率に関して差を認めなかった。
 (4) preemptive therapyが行われた群ではHR 0.17(p=0.07)でCMV疾患の発症を阻止する傾向を認めた。
 (5) 画像所見でリング状増強効果を96%で認め、抗体陽性率は61%であり、髄液のPCR陽性率は29%であった。sulfadiazineより clindamycin併用が治療完遂率が高かった。
 (6) MSMを対象にしたHHV-8検査では11.9%がELISAまたはIFAで抗HHV-8抗体陽性であった。400名分の対照群血清を調査し20名が陽性(5%)であった。
 (7) QFTよりELISPOTのほうが陽性率が高かった。CD4数が200/μL以下ではQFTの判定不可例が見られたが、ELISPOT では判定不可例は1例もなかった。
3)STDを契機に感染が判明した例数は5~30%であった。また、その内訳は、梅毒、尖圭コンジローマ、赤痢アメーバ症、の順であった。
結論
日本におけるHIV関連日和見感染症と悪性腫瘍の動向及び新しい診断と治療、合併感染症を端緒とするHIV感染者の発見についてのデータを集積した。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

文献情報

文献番号
201124006B
報告書区分
総合
研究課題名
日和見感染症の診断/治療およびそれを端緒とするHIV感染者の早期発見に関する研究
課題番号
H21-エイズ・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
安岡 彰(長崎大学 病院)
研究分担者(所属機関)
  • 照屋 勝治(国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター)
  • 片野 晴隆(国立感染症研究所 感染病理部)
  • 山本 政弘(国立病院機構九州医療センター AIDS/HIV総合治療センター)
  • 古西 満(奈良県立医科大学 感染症センター)
  • 宇野 健司(奈良県立医科大学 感染症センター)
  • 永井 英明(国立病院機構東京病院 呼吸器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIVの日和見感染症の発生動向、日和見感染症の診断と治療法の開発、日和見感染症の視点からのHIV
感染者の早期発見のためのデータ蓄積を行った。
研究方法
以下について検討した。
1)日和見合併症の動向調査
2)重点合併症の診断・治療法の開発
 (1) 免疫再構築症候群
 (2) ニューモシスチス肺炎(PCP)の治療
 (3) HIV合併ノカルジア症
 (4) HIV感染者におけるプロカルシトニンの臨床的有用性
 (5) RT-PCR法を用いたAIDS関連ニューモシスチス肺炎の早期診断
 (6) クリプトコックス髄膜炎の臨床的検討
 (7) HIV感染者における結核症例の検討
 (8) 日本人HIV感染者におけるリファブチンの薬物動態
 (9) エイズ治療・研究開発センター(ACC)におけるHIV合併梅毒患者の検討
 (10) HIV感染合併赤痢アメーバ症の病態とシスト駆除有用性に関する検討
 (11) HIV患者におけるサイトメガロウィルス臓器病変に関する臨床的検討
 (12) トキソプラズマ脳炎23例の臨床的検討
 (13) カポジ肉腫
 (14) HIV合併結核診断
3)病院におけるHIV検査の推進のための日和見合併症の特徴
結果と考察
 3年間にわたる研究で、本邦におけるHIV感染者に見られる日和見合併症の疫学データと病態、診断治療に関する多数の成果が得られた。日和見合併症の動向として、主要な4疾患の持続と、それに続く疾患として急増してきた悪性リンパ腫やカポジ肉腫といった悪性腫瘍、非指標悪性腫瘍の増加を明らかにした。免疫再構築症候群の診断の一助や現在の免疫再構築症候群に対する臨床医の考え方のデータ、ニューモシスチス肺炎、結核、サイトメガロウイルス感染症、クリプトコックス症、トキソプラズマ脳炎などの指標疾患に対する臨床データ、合併しやすい梅毒やアメーバ症の臨床検討などは、HIVを診療する医師にとって日本のHIV合併感染症の診断・治療にきわめて有用な情報が得られた。一般クリニックでのHIV検査の実施率の低さと、対照的なHIV感染者のSTD合併率の高さなど、医療機関におけるHIV感染者の早期診断のために解決すべき課題も明らかとなった。
結論
日本におけるHIV関連日和見感染症と悪性腫瘍の動向及び新しい診断と治療、合併感染症を端緒とするHIV感染者の発見についてのデータを集積した。

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201124006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 早期のHIV診断と、適切な日和見感染症の診断治療技術の開発と啓蒙が今後も必要となっている。
本研究により、これらの発生動向が明らかとなり、さらには非指標の悪性腫瘍、特に肺癌の増加傾向など重要な情報を得ることができた。日本におけるMSMのHHV-8感染の実態を明らかにするなど、学術的に貴重なデータが得られた。
臨床的観点からの成果
免疫再構築症候群の診断の指標や、日本の臨床医がどのように対処しようとしているかなど、臨床上有益なデータが得られた。また、各種日和見感染症の治療成績や予防投薬の有用性など今後の日和見合併症の治療のために有用なデータが集積できた。また、STDを契機としたHIV感染症発見が有用であることをデータとしても明確に示すことができた。
ガイドライン等の開発
免疫再構築症候群 診療のポイントVer.3
その他行政的観点からの成果
該当なし
その他のインパクト
該当なし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
3件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201124006Z