体表面サイトカインクロストークならびに抗原動態の最適制御による新規インフルエンザ粘膜ワクチンアジュバントの開発

文献情報

文献番号
201123062A
報告書区分
総括
研究課題名
体表面サイトカインクロストークならびに抗原動態の最適制御による新規インフルエンザ粘膜ワクチンアジュバントの開発
課題番号
H23-新興・若手-023
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 友章(大阪大学 薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 吉岡 靖雄(大阪大学 薬学研究科)
  • 阿部 康弘((独)医薬基盤研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
3,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、ナノマテリアル(生体適合性が高く抗原の体内吸収性を高める効果を持つ)を抗原送達担体として利用し、炎症性サイトカイン(粘膜表面上において感染防御系を制御している)をアジュバントとして利用することで上記課題の克服を目指すことである。本年度は、すでに確立済みの従来型サイトカインアジュバントとナノシリカを併用したプロトタイプ粘膜ワクチンシステムの有効性及び安全性を評価した。
研究方法
モデル抗原であるOVA(100 μg/mouse)を、CT(1 μg)、0.1 μgのTNF-αあるいはIL-1αと共に投与する群を陽性比較対象とした。各混合液を1週間間隔で3回、経鼻免疫し、血清および鼻腔洗浄液、糞便抽出液、膣洗浄液中における抗原特異的IgG産生ならびにIgA産生を指標に、全身と局所における抗原特異的な免疫誘導能を比較検討した。
結果と考察
その結果、まず、血中の抗原特異的IgG・IgA産生量を比較検討した。その結果、CT適用群、TNF-αを適用した群では、OVA特異的IgG産生量が経日的に増大した。一方で、サイトカインと共にnSP30を適用した群では、非常に興味深い事に、0.1 μgのTNF-αを単独で投与した群ではOVA特異的抗体の産生は殆ど認められなかったのに対して、同量のTNF-αとnSP30を併用すると、陽性対照であるCT適用群を上回るほどのワクチン効果が得られた。以上、nSP30を併用することで、従来型のサイトカイン粘膜ワクチンアジュバントシステムの有効性を増強出来る可能性を先駆けて見出した。
結論
以上、H23年度は、当初計画通りに研究を遂行し、nSP30を併用することで従来型サイトカインアジュバントの有効性を向上させうることを初めて見出した。これらの結果を受け、今後は、本ワクチンシステムの有効性や安全性のさらなる向上を目指して、ナノマテリアルの安全性をより詳細に評価することによって、より最適なワクチンシステム開発へフィードバックできる情報の抽出を図る予定である。

公開日・更新日

公開日
2012-06-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201123062Z